新年度を迎えた1日、不動産各社においても新たに不動産業界の一員となる新入社員を迎えるべく、入社式が執り行なわれた。以下、各社入社式での社長挨拶の要旨。
■三井不動産(株)代表取締役社長 岩沙 弘道氏
■三菱地所(株)取締役社長 木村惠司氏
■森ビル(株)代表取締役社長 森 稔氏
■(株)大京代表執行役社長・グループCEO 田代正明氏
■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠氏
■三井不動産販売(株)代表取締役社長 佐藤 実氏
(順序不同)
三井不動産グループでは、昨年5月、2007年から10年間の経営計画として「新チャレンジ・プラン2016」を策定いたしました。日本は、今、少子高齢化に代表される「成熟化」、さらに「グローバル化」という2つのトレンドの中にあり、大きな「変革期」を迎えています。こうした変化の時期こそ、「ビジネスを進化」させるチャンスです。長期的な視点から社会や経済の構造変化を捉え、次世代型リゾートなどの新分野への進出、国際事業の強化、新たな都市再生事業・ファンド事業への着手といった、将来へ向けた施策を積極的に展開しています。
さらにグループ内の意識改革・人材の育成を進めて、2016年には、グローバルなフィールドでの「不動産ソリューション・パートナー」へと進化を遂げたいと思います。
さて、今日は皆さんが三井不動産の社員として、第一歩を踏み出す記念すべき日であります。そこで、皆さんに心がけていただきたい点を、いくつかお話します。
まずは、「自立した個人」になるということです。今後は、「自立した個人」が、「会社のビジョン」に「自らの志」を重ね合わせて「自己実現を果たしていく」ことが重要になります。三井不動産は、皆さんが自動的に走っていけるようなレールを敷くことはしませんが、高い志を持って自己実現を目指す者にとっては、最高のステージを提供できる会社です。自らの力で人生を切り開き、高い志を果たしてほしいと思います。
二つ目は、常に「ポジティブな発想」で臨む、ということです。先行き不透明で将来が見えにくい時期こそ、「問題の本質的な部分」等を徹底して考え、打開策を見出し、行動に移すことが大切です。また、「チャレンジ精神」や「困難にくじけないタフネスさ」も必要となります。皆さんには、若さの特権として「失敗」も許されます。何事にも「ポジティブな発想」で臨み、果敢にチャレンジしていただきたいと思います。
三つ目は、「心と体の健康」です。「自立した個人」として「ポジティブな発想」で臨むために大切であり前提となります。会社は、社員の健康を守る制度や仕組みを用意していますが、常に心と体の健康を保てるよう、十分な自己管理を心がけてください。
四つ目は、「社会人としてのコモンセンスを持つ」ということです。「やって良いこと、悪いことを見極める」といった、ごく当り前の常識が大切です。そういう意味で、コモンセンスを絶えず新鮮に保っていただきたいと思います。
次に、「幅広い視野を持つ」ということです。「大きな変化が速いスピードで、それもグローバルレベルで進む」というのが、今の時代の特徴です。社内外、世代を問わず、可能であれば海外を含めて、「人との交流」、「出会い」を大切にし、人間の幅を広げていただきたいと思います。
最後は、コンプライアンスの重要性です。コンプライアンスは、皆さんの行動の基本指針にしてください。法律や規則は、守るのは当然ですが、その精神に反する行為も許されないことを肝に銘じてください。この点でも、コモンセンスを大切にし、コンプライアンスの徹底を図ることが重要です。
日本経済は、サブプライムローン問題を契機とする景気の不透明感などにより、潮目が変わってきた。われわれは冷静に状況を眺めながら、どんな状況にも対応できる準備をしておかなければならない。
今日から仕事に取り組むにあたり、次の4つのことをお願いしたい。
(1)インテグリティ:社会やお客さまに対し誠実に対応することによって、信頼が得られる。
(2)人を大事にすること:集団のなかでは、思いやりや優しさが必要。一人の力には限界があり、オープンマインドでチームワークを大切にしてほしい。
(3)チャレンジ志向:日々の業務に魂を込めて、クリエイティブなことや新しいことにチャレンジを続けてほしい。
(4)自ら成長すること:たくさんの引き出しを持ち、ノウハウやスキルだけではなく、それを生かす知恵を身につけてほしい。
今年度は新・中期経営計画「アクション2010」のスタートの年。われわれのめざす将来像として「デベロップメントを核とした、グローバルな不動産ソリューションプロバイダー」と定めた。これを実現するためには新入社員の皆さんの大きな力が必要。皆さんが活躍できるさまざまなステージを用意しているので、世界を見据えて大きな花を咲かせてほしい。
サブプライムローン問題に端を発する不透明な経済状況のなかで、投資の手控えや地価の停滞などが生じている状況にあっても、長期的な街づくりを進める我々にとっては、かえって仕事が進めやすい環境といえます。この機にこそ、ためらうことなく、充分に計画的な街づくりを推進することで、都市再生を果たし、東京が国際的な都市間競争に勝ち抜いていくならば、必ずや日本経済も活性化すると信じています。
「六本木ヒルズ」が5周年を迎え、さらに「上海環球金融中心」の完成を控えるにあたって、われわれがこれまで提唱し続けてきた都市づくりのスタイル「Vertical Garden City(立体的な緑園都市)」の評価が世界的に固まりつつあることも感じています。新しい技術を前提として、土地の高密度、高効率利用により、CO2削減など地球環境にも対応した好環境都市の実現、さらに、耐震、耐久にも優れ、安全、安心でかつサスティナブルな都市の実現も可能です。
われわれは、レゾンデートルである再開発を通じて、快適都市生活プロデューサーとしての役割を担いながら、社会への貢献を果たし、皆さんにとって、あってほしい会社、あるいは、なくてはならない会社として存在していきたいと考えます。国際的な評価を得て、これからいよいよわれわれの本格的な展開が始まります。諸君には、熱意を持って、謙虚かつ貪欲にいろいろなことを十分に吸収してほしい、そして、会社の仕事を通じて自己実現を果たしていただきたい。大いに活躍を期待しています。
大京グループの経営理念は、グループの各部門において行なっているマンション分譲、マンション管理、不動産仲介などの各事業を通じ、「あらゆるライフステージに応える住まいとサービスを提供し、『住文化』の未来を創造していく」というものです。
これをグループ各社において高い品質で実現するには、部所や会社の枠を超えた活発なコミュニケーションが必要です。皆さんも会社の枠を超えて強い仲間意識、グループ意識を持ち、同じ会社の一員だという気持ちで仕事をしていただきたいと思います。
さて、数年来好調を維持してきたマンション市場は昨年度後半より調整局面に入っています。これは、土地価格や原材料費の高騰から来る建築コストの上昇、米国のサブプライムローン問題に端を発した金融システム不安、世界的なドル安・円高、そして株安という懸念材料による消費者マインドの変化、冷え込みによるものです。
一方、このような厳しい事業環境の中、グループの新たな成長基盤を確立するべく、新規事業への取り組みを拡大しています。REIT事業への本格的取り組み、台湾におけるマンション分譲事業の推進、お客さま情報の有効活用を目的とした新部所の設置などがこれに当たります。
このように、大京グループは、コア事業の強化はもちろん、次世代の収益拡大に向け、さまざまなアクションを起こしており、活躍の場はどんどん広がっています。皆さんも一日も早く大京グループの戦力、原動力となり、グループの未来に貢献してほしいと思います。
社会に目を向けてみると、温室効果ガス削減への取り組みや、住宅の長期利用促進のための省エネ規制など、世の中がストック型社会、循環型社会へ転換しています。私たちも先手を打って時代に合った事業手法や商品、サービスの開発をしていかなければなりません。
大京グループは、環境問題を始めとする企業の社会的責任を全うするべくCSR活動にも取り組みます。今日からグループのメンバーになる皆さんも、これからの発言、行動は常に社会的責任が伴うことを忘れないでください。
そしてわれわれは皆さんに、住まいや暮らしに関わる社会貢献度の高い仕事をしているのだという気概と、お客さまの一生をお預かりしているのだという責任感をしっかりと持ち、お客さまに対しては「カスタマーズ・サティスファクション=顧客満足」を超えた「カスタマーズ・ディライト=顧客感動」を感じていただけるような接し方を期待しています。
現在の日本経済は先行き不透明感が増しており、当不動産業界の事業環境も大きく変化しています。こうしたなか、当社が更なる飛躍に向け新たな成長軌道を確立していくために必要なことは2つあります。第一は、「あらゆる事業分野において、常にお客さまの視点に立って事業展開すること」、第二は「コンプライアンスに徹した事業推進体制を確立すること」です。そして、刻々変化し続ける市場のニーズを迅速・的確に捉え、常に革新と創造を発揮し日々の研磨を続けることで、当社の企業理念「信頼を未来へ」を体現する担い手となってもらいたい。
少数精鋭の当社にあっては、これらを肝に命じ、新入社員といえどもそれぞれのステージで主体的に業務に取り組むとともに、次の5つの事項、即ち、
第一に、「初心忘るべからず」
第二に、「基本を忠実に学ぶ」こと
第三に、「あらゆる人との出会いを大切に」すること
第四に、「社会やお客さまのためにという気概」を持って仕事に取り組むこと
第五に、「健康管理」に注意すること
を念頭に置き、切磋琢磨していただきたい。
現在の日本の経済・社会の状況は決して明るいとは言えません。不動産市場も購入者が慎重になっているなど、不動産価格を含め一つの調整局面を迎えています。このような状況下において、最も必要なことは「われわれ自身がもっと日本を信頼する。日本経済への信頼を持つ」ということ、そして「こういう厳しい市場環境の時こそ“チャンス”と捉え、新しい革新を起こそうというポジティブな気持ちを持つ」ということだと思います。
“良い会社”とは、利益の大きい会社、規模の大きい会社、安定した会社、成長性の高い会社などさまざまな表現がありますが、これらはすべて「お客さまがその会社の提供する商品やサービスを選んでくださる」ということの結果であり、これを長く続けている会社が“良い会社”なのです。そして、その根底にあるものは「安心」「安全」「信頼」とういう事に尽きると思います。「三井のリハウス」の21年連続全国仲介取扱件数NO.1や「三井のリパーク」の高成長は、それぞれの事業分野においてお客さまに安心、安全や信頼を感じていただき、選んでいただいた結果であります。当社では、お客さま満足度の高さと企業業績が比例するという信念のもと、お客さま満足度を数値化し、更なるサービス水準の向上を図るという取組みを行なっておりますが、当社は「お客さまから選ばれる会社」になるために、お客さまのニーズを感じ取り、サービスの質の向上や新たなサービスの創出に繋げていくことを理念としている会社だということを忘れないでください。最後に、新入社員の皆さんには、(1)謙虚な心を忘れず、(2)社会人として健全な常識を持ち、(3)自ら考え行動する、ということを心がけていただきたいと思います。そして、不動産流通業という社会的意義が大きく、成長性も高い仕事に携わること、さらにはそのなかでもリーディングカンパニーである当社で働くことに誇りを持って、充実した会社生活を送っていただきたいと願っております。