分譲マンション事業の総合コンサルティングを手がける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「小規模物件市場の現状と好調物件の条件を探る」と題したレポートを発表した。
大規模物件の販売リスクが顕在化するなか、これまで売るのが難しいとされてきた小規模物件に注目が集まっていることから、厳しい状況下で完売した5物件をピックアップ。その特徴から売れる条件を分析したもの。なお同社は、総戸数100戸未満のマンションを「小規模」と分類している。
2008年のマンション供給戸数のうち、小規模物件の占める割合は48%とほぼ半数にのぼる。平均価格も大規模の2,284万円に対し、小規模は2,193万円と安かった。しかし、契約率をみると大規模(200戸以上)が86.8%を維持している一方、小規模は51.0%にとどまる。契約率80%を超える「好調物件」のうち小規模物件の占める割合も、最も高い神奈川県でも25%、他の都県は20~12%に過ぎなかった。
一方同社は、これらの好調小規模物件のうち5物件をピックアップし、その要因を分析した。その結果、単純に駅から近いというだけでなく地元の評価が高いスポット立地、エリアでは供給されてこなかったマーケット向けに作りこんだ商品企画、仕様グレードの高さ、値ごろ感、営業力の高さ、といった特徴があった。これらを踏まえ、小規模物件の売れるキーワードとして(1)駅近立地、(2)評価が高いスポット立地(希少性)、(3)エリアのニーズにマッチした価格設定、(4)ユニットプランの充実など商品企画の充実、(5)需給バランスが良好、(6)市場のメイン商品ではないニッチ商品の検討、(7)高い販売力、を挙げた。
同社は、今回の分析結果について「成功のポイントは価格の割安感だが、単なる価格の割安感ではなく、上記に挙げたポイントの積み重ねを意識し、慎重に事業推進していくことが重要」としている。