ラサール インベストメント マネージメントは26日、2009年の世界の不動産市場の見通しをまとめた調査レポート「不動産投資戦略」を発表、記者会見を開催した。
冒頭で同社代表取締役兼CEOの中嶋康雄氏は、「不動産証券化商品はデット・エクイティともに激しい価格変動にさらされ、リプライシングの必要性が高まってきている。実物不動産投資においても同様の方法が必要になってくるだろう」と述べた。
レポートによると、世界において、不動産のリプライシング(再評価)が進行しているものの、地域と不動産種類により格差が生じていることを指摘。
日本は、グローバルな景気後退局面と金融危機を強く受け、利回り上昇に対する懸念からキャッシュフローの減少が拡大。回復にはキャピタルマーケットの安定化も必要となることから、現時点では予測が困難であるとしている。
北米は、経済の低迷や、混乱した資本市場に伴い、不動産市場も悪化。投資パフォーマンスが落ち込むとみており、カナダ、メキシコのパフォーマンスは米国を上回るものの、すべての国でリターンが低下すると予想している。なお、こうした状況は2010年には底を打つと予測しており、その間の投資対象は複数世帯住宅、長期賃貸借契約付きの小売店舗、経済サイクルの影響が低いヘルスケア、教育セクターなど、ディフェンシブな性質の不動産にすることを推奨している。
欧州は、テナント心理の悪化から価格修正から賃料の伸び悩みに発展。
銀行借入れに依存しない潤沢な資金を持つ投資家にとっては、強制的に売却された物件が流通することから、投資機会が恵まれる年といえる。
アジア太平洋圏は、米国・欧州の不景気の影響を受け、08年の終わりにかけて大幅に悪化し、資本市場でのリプライシングがデット・エクイティ両面で進行している。コア投資対象としては日本、オーストラリアが注目されるとしている。