森トラスト(株)は9日、「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査'09」(2008年12月末時点)を発表した。1986年から継続調査しているもので、23区のオフィス延床面積1万平方メートル以上の大規模ビルを対象に、各プロジェクトの計画進行状況を現地調査・聞き取り調査から分析したもの。
23区内における08年の大規模オフィスビル供給量は63万平方メートルで、07年の119万平方メートルからほぼ半減、過去20年間で2番目の低水準だった。09・10年の供給量も年間80万平方メートルにとどまり、過去の平均供給量(104万平方メートル)を下回る低水準な供給が続くと分析。ビル1棟当たりの平均規模についても、 03~07年の4万5,000平方メートルから、08~12年は4万2,000平方メートルと、大型化傾向はやや鈍化したものの、4万平方メートル台を維持している。
供給エリア動向をみると、都心3区の割合が05~08年の75%から09~12年では48%にまで低下。供給量も、317万平方メートルから225万平方メートルに激減する見込み。逆に08~12年の都心3区以外の供給は、05~08年実績の2倍強となる246万平方メートルに達する。依然として「大手町・丸の内・有楽町」エリアが供給の核となるが、「臨海」「豊洲」「大崎・五反田」「西新宿」「中野」など供給エリアの分散化が鮮明となるとしている。
オフィス供給量は、2000年以降都心3区での供給が都心3区以外のそれを上回ってきたが、10年を境に逆転するとしている。しかし、「都心以外の供給は景気後退局面ではオフィスコスト軽減を望む企業の受け皿として機能するものの、都心の好立地ビルへのニーズは底堅く、企業の都心回帰志向に変化は見られない」とし、「不動産価格の調整が、立地と賃料の両面で企業ニーズを満たす物件の供給を促進し、それによって潜在化しているオフィス需要を喚起し、マーケットを活性化していくと考えられる」と結論づけている。