(株)矢野経済研究所は8日、「ビルリニューアル市場動向に関する調査結果 2009」を発表した。
同調査期間は2009年3月~6月、対象はビルリニューアル事業者11社(ゼネコン、サブコン他)、賃貸ビル事業者(所有者)114社(首都圏、近畿圏所在の賃貸ビル事業者)。
なお、ビルリニューアル市場とは、住宅物件を除くリニューアル市場を指す。
08年度のビルリニューアル市場規模(住宅物件を除く完成工事高ベース)は、前年度比98.2%の9兆4,542 億円と微減。サブプライムローン問題やリーマンショックなどの世界的金融不安に端を発した経済不況の影響を受けての結果と分析している。
市場の動向としては、08年度は景気の悪化に伴いビル新築需要が減少、結果、従来リニューアル市場への参入は限定的であった大手ゼネコンなどの本格的な市場参入が顕著だったことや、市場への参入事業者が増加した結果、入札案件における受注価格競争がさらに激化する傾向となったことが挙げられた。
市場におけるニーズ動向は、引き続き、耐震補強や環境対応ニーズが顕著。とりわけ08年度は、環境問題が中心となった洞爺湖サミットの開催や、省エネ法の改正などの影響により、環境問題対応へのニーズが従来にも増して高まったとしている。
リノベーションなどのリニューアル工事は、08年度は不況の影響により原状復帰など必要最小限のリニューアル工事が大半を占めた。
また、首都圏、近畿圏に所在する賃貸ビル事業者所有物件におけるアンケート調査結果によると、08年度リニューアル工事例約100件での平均施工期間は3.57ヵ月に。施工期間の平均値より推定される90%信頼度での施工期間は3.05~4.10ヵ月、95%信頼度では2.95~4.20ヵ月となった。
今後のビルリニューアル市場規模は、09年度が9 兆4,542億円(前年度比100.0%)、10年度が9兆5,622億円(同101.1%)、11年度が10兆7,077 億円(112.0%)、12年度が11兆967億円(同103.6%)と予測している。