不動産ニュース / 政策・制度

2009/12/24

「平成22年度税制改正大綱」に各業界団体がコメント

 政府与党が22日発表した「平成22年度税制改正大綱」ついて、各業界団体のトップから以下のとおりコメントが発表された。


■(社)不動産協会(RECAJ) 理事長 岩沙 弘道氏

 住宅・不動産関連税制は、国民生活および日本経済にとって大変重要な制度であり、住宅取得資金贈与の非課税枠拡大をはじめ、各種税制特例の拡充・延長が認められたことを高く評価したい。ご尽力いただいた前原国土交通大臣をはじめ国土交通省政務三役の皆様にまずはお礼申し上げたい。

 贈与税非課税枠の拡大は、シニア世代が保有する金融資産を住宅・不動産投資に向け、若年層の住宅取得や二世帯住宅の建設・改修を通じ子育てを支援するという点で、大変効果的な措置であり、同時に、新築住宅着戸数の回復が期待でき、その経済波及効果から内需拡大・雇用創出にも貢献できる。

 また、居住用財産の買換え特例や譲渡損失繰越控除の特例の延長が認められ、引き続き、住み替え支援策が講じられたことは喜ばしい。

 さらに、新築住宅の固定資産税軽減特例については、今後1年間で優良ストック重視への見直しを検討していくことを条件に延長が認められたが、住宅購入者にとって欠かすことのできない制度として、およそ50年にわたり定着しており、むしろ恒久化すべき制度であると考えている。

 今回の税制改正を踏まえ、不動産業界としても、今後とも、安心・安全な住宅の供給、都市・地域再生の推進、既存住宅ストックの質の向上、住宅・不動産市場の活性化、地球環境問題等への対応に全力で取り組み、これらを通じて国民生活の向上と日本経済の発展に努めて参りたい。


■(社)不動産流通経営協会(FRK) 理事長 大橋 正義氏

 内需の弱さなどに起因して、景況感の改善ペースが鈍化しているなかにあって、今般発表された税制改正大綱は、低迷する不動産流通市場の下支えを図る観点から必要な配慮がなされたものと受け止めたい。

 具体的には、今般緊急経済対策として打ち出された住宅資金等贈与における非課税枠の大幅拡充や、当協会の要望事項でもあった居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の特例をはじめとする減税措置の適用期限の延長が図られたことについて評価したい。

 一方、相続時精算課税制度の住宅取得等資金贈与における1,000万円の上乗せ特例は廃止されたが、住宅資金等贈与における非課税枠の継続的な確保を是非ともお願いしたい。また、住宅ローン減税など、良質な住宅ストックの拡大を下支えするための税制を継続するとともに、今後予想される新たなニーズに対応した住宅取得・買換えの促進を図るための拡充策についても検討されることを期待する。

 最後に、改めて、今般の税制改正にご尽力いただいた、関係の国会議員の諸先生方ならびに国土交通省はじめ関係省庁の皆様に厚く感謝申し上げたい。


■(社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連) 会長 伊藤 博氏

 本会では、住宅市場の活性化が国民の生活基盤の確立と日本経済のけん引役として重要であり、そのための積極的な刺激策が必要であるとして、都道府県宅建協会と連携して政府に対して、平成22年度の税制改革大綱について提言を行ってまいりました。

 この度の税制改正大綱においては、住宅取得資金に係る贈与税の非課税枠の拡大において、直系尊属からの住宅収録等資金の贈与を受けた場合の現行500万円の非課税限度額が、平成22年度中に贈与を受けた場合は1500万円、平成23年度中に受けた場合は1,000万円となったことについては、当初案である2,000万円には届かなかったものの、この緊縮財政下の状況では、評価できるものであります。
 
 また、新築住宅に対する固定資産税の減税措置、居住用財産に係る買換特例及び不動産取得税に係る特例措置等、各種時限措置の適用期限の延長についても、建築着工数が減少している折、新築住宅の建築を促し、住宅市場の活性化につながる措置として、本会も提言を行っていた項目であり、今回の決定は歓迎いたします。

 本会では、これらの税制改正に加えて、安全・確実な不動産取引が行える「不動産取引所」の検討、賃貸不動産管理業の法制化の推進、その他土地政策等に関する提言を研究する全宅連不動産総合研究所などの活動を通じて、不動産流通市場の活性化と日本経済の回復に尽力していく所存であります。

■全日本不動産協会(全日) 理事長 川口 貢氏

 政権交代が実現し、民主党、社民党、国民新党との3党連立政権による鳩山内閣がスタートしたが、税制改正要望一つとっても、これまでとは様相が一変した。このたびの平成22年度税制改正における政府税調の議論では、当初は期限切れを迎える特例税制は、延長せずに終結させるという姿勢が報じられ、業界の先行きに不安を禁じ得なかったが、最終的には、相当程度の特例制度が条件付きながら、とりあえず認められたという感がある。
 今後1年間で見直しを検討することを条件に延長された特例も多いので、今後ともその動向に注視したい。


■(社)不動産証券化協会(ARES) 理事長 岩沙 弘道氏

 不動産投資市場は、不動産市場安定化ファンドが設立される等の施策が講じられ、Jリート市場では物件取得のための増資が再開されるなど、再活性化の動きも見え始めている。

 しかしながら景気の先行きについては、11月の月例経済報告で「緩やかなデフレ状況にある」との認識が示されるなど、依然として楽観できる状況にはない。

 このような状況下、新政権においても不動産投資市場の重要性が認識された結果、平成22年度税制大綱において、当協会が要望した「投資法人等の登録免許税の軽減措置の延長」、「特定社債の募集要件の緩和」、「海外投資家が受け取る投資法人債等の利子に係る非課税措置の創設」措置されたことは、高く評価したい。

 国土交通省の成長戦略会議において住宅・都市が内需喚起の柱として検討対象に加えられた様に、Jリートを始めとする不動産投資市場は、都市・地域の再生を通じて我が国経済の持続的成長に重要な役割を担っている。

 当協会では今後も不動産証券化市場の健全な発展に向け、全力を挙げて取り組むとともに、税制上の適切な対応や経済情勢の変化に対応した機動的で実効性の高い施策についても、引き続き求めて行きたいと考えている。


■(社)住宅生産団体連合会(住団連) 会長 樋口 武男氏

 住宅関連税制は、住団連の要望していた、住宅取得資金の贈与の非課税枠の拡大が認められた。今後、世代間の金融資産の有効活用が図られ、子育て世代の良質な住宅の取得が推進される事による経済効果が期待できる。

 また、居住用資産の買い替え特例、登録免許税の軽減、不動産取得税の特例、および、新築、省エネ改修・バリアフリー改修促進税制における固定資産税の軽減等の延長が認められたことは、ストック型社会を目指すうえで評価が出来る税制改正大綱である。

 経済環境は依然厳しい状況が継続しており、今回の政府の平成22年度税制改正と、「緊急経済対策」における住宅投資への支援策の実施は、良質な住宅の普及・促進を推進し、内需拡大、地域経済の活性化にも繋がるものと期待している。


■(社)日本ビルヂング協会連合会(ビル協) 会長・髙木 丈太郎氏

 当連合会として、重点要望としていた耐震改修促進税制の拡充が認められず、しかも制度そのものが廃止になったことは、東海・東南海地震さらには首都圏直下型地震の発生が危惧される中で極めて遺憾である。

 当連合会としては、今後とも会員の要望を踏まえ、ビル事業関連の税制の充実を求めていく所存である。

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