国土交通省は25日、賃貸住宅管理業に関するトラブルを解消するため、賃貸住宅管理業を営む者に対する「法律に基づかない任意の登録制度」の創設を提言した。登録事業者の業務等につきルールを定めることで、業務の適正な運営を確保するもの。25日に開催された、社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:平井宜雄・専修大学法科大学院長)で、その概要を明らかにした。
同制度は、国土交通省に備える登録簿に登録を受けることとし、登録業者が管理業務に対し不正な行為等をした場合は、登録が消除される仕組み。登録対象の不動産は「賃貸住宅」とし、非住宅は本制度の対象から外れる。対象事業者・業務は「賃料等の徴収業務」ならびに「賃貸借契約の更新業務および解約業務」のいずれかを担う事業者。なお、「サブリース業」についても登録制度の対象とする一方、所有する物件を自ら賃貸する「賃貸業」は対象外とする方針。
登録業者が遵守すべきルールとして、賃借人の利益保護のため、賃借人に対する管理内容の書面交付や行き過ぎた督促行為の禁止を、また賃貸人の利益保護のため、賃貸人に対する管理受託契約内容の重要事項説明や、財産の分別管理などを盛り込む予定。
なお、地域の商慣習等に委ねることが望ましい事項については、事業者による自主ルールや標準管理委託契約書などを活用する。
同制度の運用に当たっては、当面は法規制ではなく、告示による任意の登録制度を国土交通省が実施し、国民の意見や事業者の取組み状況を踏まえ、法規制の導入に向けた取組みを進める方針。
新制度により登録事業者名が公表されることから、消費者は登録事業者の情報を事業者選択の判断材料として活用でき、優良な事業者の選別が進むことで、適正な業務のためのルールが広く普及することが期待できる、としている。
参加委員からは「任意の登録制度が機能すれば、法規制を導入する必要はないのでは」、「登録したのか、していないのか、消費者がわかりやすい体制を構築するべき」などの意見が出された。
なお、委員の発言を踏まえた内容の修正等は平井部会長一任とされ、同部会は今回の開催をもって休会となる。