不動産ニュース / その他

2010/1/5

「2010年 年頭挨拶」(各社)

三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙弘道 氏
三井不動産販売(株) 代表取締役社長 佐藤 実 氏
三菱地所(株) 取締役社長 木村惠司 氏
東京建物(株) 代表取締役社長 畑中 誠 氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 小野寺研一 氏
森ビル(株) 代表取締役社長 森 稔 氏
森トラストグループ 代表 森 章 氏
(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 岩尾 崇 氏
積水ハウス(株) 代表取締役会長兼CEO 和田 勇氏
大和ハウス工業(株) 代表取締役社長 村上健治氏
三井ホーム(株) 代表取締役社長 生江隆之氏
(順不同)

■三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙弘道氏

 新年あけましておめでとうございます。

 最初に2009年を振り返りますと、日本経済は4~6月期以降、実質GDPがプラスに転じ最悪期は脱したところですが、デフレの進展などもあって景気回復は力強さに欠けたものとなりました。一方、世界経済は、先進国の景気回復ペースが遅い中、中国が高い成長を遂げました。こうした中、9月に政権交代が行われ、民主党政権が誕生しました。新政権は、個人所得を直接増やす政策により消費を刺激し、雇用の確保や内需拡大を目指しており、2010年度の予算案の編成等も、そうした観点から行われたところです。

 不動産マーケットでは、賃貸ビルマーケットは実体経済悪化の影響を受け、空室率の上昇等が起きました。ただし、年後半には空室率も落ち着いてきています。住宅市場では、拡充された住宅ローン減税の効果もあって、既存住宅の仲介件数は年間を通じて好調に推移しました。新築住宅については、着工件数は低位で推移したものの、契約率の向上・在庫の減少が進みました。一方、J-REITなどの不動産投資市場は、不安定な金融資本事市場等を背景に全般として低調に推移しました。そうした中、9月にJ-REIT市場の再生に向けて「不動産市場安定化ファンド」が創設され、その後、REITの公募増資再開、投資法人の合併・再編等の動きも具体化しました。年末には、都心大型物件の取引が成立し、不動産投資市場の活性化への期待も高まりました。

 年末の税制改正では、住宅取得資金贈与の非課税枠の大幅拡大や各種特例措置が延長され、予算措置としても住宅版エコポイント制度が創設されるなど、大きな政策効果が期待される新税制、新制度が実現しました。今後は、新たな支援制度も活用しながら、安心・安全な住宅の供給、都市・地域再生の推進等を通じて、「豊かなくらし」、「雇用の確保と内需の拡大」を実現していくことが、不動産業界の責務であると考えています。

 三井不動産グループにおいても、経済情勢、不動産マーケット全般を含め厳しい事業環境が続きました。そうした状況ではありましたが、既存住宅の仲介を担うリハウス、新規開業案件を含めた商業施設、運営管理等を担うグループ会社の成長など堅調な事業分野もあり、日本アコモデーションファンド(J-REIT)の増資に伴う賃貸住宅の売却などREIT市場全体の活性化にも資する施策も実行できました。危機管理モードに沿った施策の着実な履行にとどまらず、「新・チャレンジ・プラン2016」の基本戦略である「顧客志向の徹底」とこれを通じた本業のイノベーティブな改革を進めるとともに、環境施策の強化や成長市場である東アジア、特に中国への足がかりも築くことができ、経済危機後の新たな成長戦略の構築へ向け、着実な進捗を図ることができたと考えています。

 次に2010年ですが、日本経済、世界経済とも回復基調にはあるものの、雇用など、不透明な要素が多く、回復は緩やかなものに留まると予想しています。そうした中で、CO2削減など地球環境問題をめぐる国際的な議論、東アジア各国の高い成長などが進展し、経済危機後のグローバルなパラダイム転換をにらみ、新たな成長戦略の模索が本格化するものと思います。日本も、さまざまな分野でチャレンジの動きを起こしていく必要あると考えています。

 まず、デフレから脱却し、安定した回復軌道に乗せるため、日銀の金融緩和策と十分連携をとりながら、切れ目のない経済対策が実施されることを期待します。これに加えて、今後の成長戦略を確立していくことが必要であり、先進国向けの輸出に依存した経済構造から、「内需」を経済成長の牽引役のもう一つの柱に位置づけ、「外需」の再構築と復活を進めながら「内需」と「外需」のバランスの取れた構造へ転換することが必要です。

 当社グループも、「内需」の柱として期待される都市・地域再生、安心・安全で質の高い住宅の提供を通じて、雇用の確保と景気回復に貢献していきたいと考えています。また、環境施策については、今年最大の国際的課題と予想される「CO2の削減」に向けた取り組みはもちろんのこと、「水環境の保全」「省資源・廃棄物削減」「生物多様性の保全」「有害物質削減」など幅広い領域を含めた形で推進し、環境共生型・低炭素型の街づくりのスキル・ノウハウの確立を目指していきたいと思います。

 回復基調にはあるものの、日本経済も不動産マーケットも、予断を許さない状況が続くことが予想されます。一方では、東アジアの成長や既存住宅仲介の活発化など明るい材料もあります。経済状況には十分な注意を払いながらも、本業のイノベーティブな改革を継続し、同時にグローバルな視点からの取り組みに積極的にチャレンジして、新たな成長戦略を確立する一年にしたいと思います。

 そういう意味を込めて、今年のスローガンは、「グローバル化新時代、築け、新たな成長戦略」とします。

 最後に、皆様のこの一年のご健勝とご多幸をお祈りして、年頭の挨拶とさせていただきます。

■三井不動産販売(株) 代表取締役社長 佐藤 実 氏

 明けましておめでとうございます。

 昨年は、日本経済の景気回復の遅れ、デフレの進行により、不動産業界にとっても大変厳しい年でありましたが、既存住宅の流通量と自己居住用住宅の着工戸数が拮抗するという既存住宅流通業界にとって、エポックメイキングな年でもあり、まさに住宅ストックビジネス時代の到来を予感させる1年となりました。

 新築着工数の落ち込みが予想以上に大きかった事も原因のひとつですが、人口減少社会の住宅政策としてのストック重視の方針やお客様の住宅ニーズの多様化・個性化が影響しているものと思われます。ライフステージに応じた住み替えの活性化はお客様の「豊かな住まいの実現」そして、経済発展に寄与するものと考えます。その中で価格や立地選択において、新築の取引と比べ対応幅の広い既存住宅の存在意義がますます高まるものと考えています。

 今、我々はかつて経験したことのない経済環境・市場環境に直面しており、本年も厳しい環境が続くという危機意識を持ち、急速に変化するマーケットに適時、適切に対応してまいりたいと考えます。その原点は、「お客様」であり「お客様の声」に一層耳を傾けつつ、質の高いサービスを提供すると共に、縮小均衡に陥ることなく、来るべきマーケット回復時に備えて経営体質の強化を図り、この厳しい環境を乗り切っていきたいと思います。

 本年も皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

■三菱地所(株) 取締役社長 木村惠司 氏

○2010年の日本経済は、先行きが不透明で予断の許さない状況が続くと思われる。日本全体が自信を失っているように見えるが、ポテンシャルは高い。我々は中期経営計画の最終年度を迎えるが、財務構造、健全性に留意し、次の飛躍に備える年としたい。

○そのために、
 (1)発想の棚卸し(過去にとらわれない柔軟な発想)
 (2)環境問題への積極的な対処
 (3)顧客との継続性
 (4)人財の自立(常識にとらわれない新しい提案力)
 (5)“As One Team”(互いを信頼して士気を高めること)
 を心がけてもらいたい。

○厳しい時代であるからこそ、変化をチャンスと捉え、三菱地所グループの優位性を保つために、一人ひとりがどうすべきかを考えることが大切である。時代が我々を試していると感じるのではなく、我々が時代を試すのだという気概をもって、この難局を乗り切って行きたい。

■東京建物(株) 代表取締役社長 畑中 誠氏

 日本経済は、景気の先行き不透明感が続いており、二番底懸念も払拭できない状況である。当不動産業界においては、分譲住宅市場で、一部改善の兆しが見られるものの市場規模は大幅に縮小し、また、賃貸オフィス市場、不動産投資市場についても依然厳しい状況が続いている。

 当社にとって、グループ中期経営計画の2年目となる今年は、非常に重要な年である。まずは中期計画に掲げた戦略を実行し、計画達成を確実なものとすることが必要である。
 また、このような厳しい環境の中での更なる成長を目指し、海外、余暇、そして高齢化社会に対応すべく機構改革を行った。これらは、今後の当社の成長に向けての布石となるであろう。

 当社グループは、過去の厳しい時期を乗り越えてきたノウハウがある。それらを活かし、常にお客様の視点に立って事業を推進するとともに、コンプライアンスに徹した事業姿勢を貫くことで、この厳しい時期を乗り越え、より大きく飛躍できると確信している。そのためには、役職員一人ひとりが日々努力を重ね、常に変革の心を忘れず業務に邁進してほしい。

■住友不動産(株) 代表取締役社長 小野寺研一氏

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、未曾有の世界同時不況からの脱却に、全世界が足並みを揃えて取り組んだ年であった。日本も、財政出勤、金融緩和により、何とか非常事態は回避できたようだが、依然として回復の足取りは脆弱である。

 民主党に政権が交代したが、住宅をはじめとする内需の喚起が急務であることは変わらない。引き続き、迅速かつ大胆な政策発動が待たれるところである。

 当社は、この3月で第4次中期経営計画が終了する。計画立案時と比べて大変厳しい経済環境となったが、中計ごとの成長継続と、年度目標の経常利益1,000億円は、達成できる見通しだ。最後まで油断することなく、確実に仕上げたい。

 4月からは、第5次中計がスタートする。現状を改革するための高い目標を掲げ、ひとりひとりが自ら考え、相談し、行動し、成長継続に向けて邁進しよう。

 今年も、「快活な気風」をモットーに、明るく元気に頑張ろう。

■森ビル(株) 代表取締役社長 森 稔氏

 世界的な経済不況が続くなか、これまでのように右肩上がりの景気回復を楽観して待つことができる状況ではない。良い街づくりをしていればお客様がついてくるという時代ではなくなった。

 こうしたなかでも、企業の本質は「新しい顧客の創造」にある。思い返してみると、我々の歴史はまさに新しい顧客の創造でもあった。昨年末に都心初のアウトレットとしてリニューアルオープンした「ヴィーナスフォート」も然り、「ラフォーレ原宿」や「アークヒルズ」、また“文化都心”戦略を打ち出した「六本木ヒルズ」も然り、いずれも既成の概念へ挑戦し、新たなマーケット創造を果たしてきた歴史を持つ。これからも、我々は在来の考え方にとらわれずに、新しい価値により顧客を創造する街づくりを、より一層進めることによって競争力を高めていく。

 少子高齢化の時代、我々としては、かねてより提唱する「ヴァーティカル・ガーデンシティ」構想に基づき、東京ひいては日本の未来に向けた国家戦略の一翼を担う気概を持ちながら、世界に目を向け、特に成長著しいアジアを積極的に取り込み、観光だけでなく、世界中の人々が実際に住み、働く都市づくりを進めることで、大きなポテンシャルを持つ東京の活性化に貢献していきたい。

 今年の干支は「庚寅(かのえとら)」。「庚」はものが改まる、「寅」は動き始めるとの意から、改革が始動する年だと言える。森ビルグループの目指すべき将来像を描き出すことを目的として、昨年末に「経営企画室」を新設した。今年は組織的なマネジメント体制への移行を図りつつ、次世代のリーダーづくりも進め、森ビルのさらなる発展に向けた改革が起動する大事な年となる。皆さんの一層の奮起と活躍を期待する。

■森トラストグループ 代表 森 章氏

 米国の金融危機を端緒とする世界的な実態経済の悪化が続いており、新興国の成長という好要因があるものの不確実な要素も多く、世界経済は引続き厳しい状況にある。日本においては政権交代が行われ、歴史的な転換点を迎えているが、いまのところ成長戦略が見えておらず、日本経済の先行きも不透明さを増している。

 このような中、森トラストグループとしては事業環境という外部要因に変化があろうと、現状を維持し、成長・拡大を目指していく必要がある。

 その手段として、1つは変化への耐性や対応力を強化するために、自己資本増強を含めて財務体質の強化を行ない、また社員各人の生産性も向上させ、企業体力を一層強化していく。

 もう一つは、新しい時代の変化を見据え、既存のビジネスに縛られることなく、新たなビジネスモデルを積極的に開拓していく。

 歴史を紐解くと、石油ショック等を含め、日本は困難な状況のときに、逆転の発想を持って創意工夫を凝らし、経済を飛躍的に発展させてきた。現在の日本も非常に厳しい状況におかれてはいるが、こうしたDNAを活かして、マイナスをプラスに変える発想力を持つことが成長の鍵を握る。

 森トラストグループは自らが多業種多企業を包含した複合企業体経営を行っているのだから、不動産事業に縛られることなく、広く社会に有益なビジネスを事業範囲とできるポジションにある。社員は自らの価値を最大化できるよう生産性を高め、多様な能力を開発すれば、それを発揮できる舞台があるということだ。新時代に向けた新たな発想力を結集し、さらにこれまで森トラストグループが築いてきた経営資源やポジションを活かし、前向きな思考で新たなビジネスモデルを開拓していきたい。

■(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 岩尾 崇氏

 新年あけましておめでとうございます。

 平成22年の新春を皆さんと元気に明るく迎えられたことを心より嬉しく思います。

 昨年一年を振り返ると、政治・経済ともに激動の一年となりました。あらゆる意味で“大変”な、“変動”・“変革”の一年でありました。

 マンション業界では、私達にとって第一義的な顧客である不動産業者については破綻、事業の見直し、中断、縮小などがありました。その結果、私達の新中期経営計画の初年度目標達成に向けて苦労がありましたが、皆さんの努力により、ほぼ計画通りに推移しております。

 今年も厳しい状況を与件として捉えなければなりませんが、「住宅」については、住宅版エコポイント制度の創設や住宅取得に対する贈与税の拡充など順風も吹きます。また、国の施策をみても高齢者対応、耐震、環境配慮の住宅、リフォームに力を入れていると感じています。こうした点では、私達がこれまでやってきたことを継続して行えば良い結果を生むと思います。
 
 年頭の心構えとして、これまで「信」、「心」、「新」そして「和」を訴えてきましたが、今年は『志』の共有を皆さんにお願いしたいと思います。私達は人々が生活するに不可欠な“住まい”に関わる仕事、即ち社会に有用な業務を行っています。そこで「お客様に安全・安心で快適な住まいの場を提供する」ことが私達の『志』であり、原点です。

 お客様に満足いただける住まいの場を提供すれば、長谷工グループの信頼に繋がり、それが結果として利益を生むという良い循環ができるはずです。そして、グループ全員が『志』を共有し、一人ひとりが自分の役割を認識し、努力すれば必ず道は開けます。

 今年の干支は<庚虎>(かのえとら)です。庚とは新たな姿に変化しようとする状態を指すそうです。今年はもう一度『志』を改め、新たな気持ちで頑張っていきましょう。

■積水ハウス(株) 代表取締役会長兼CEO 和田 勇氏

 新年、明けましておめでとうございます。

 一昨年のリーマンショック以降、世界経済はそのショックが癒えることなく、未だ不安定な状態が続いています。しかし、出口のないトンネルなどありません。むしろ、暗闇の中にいるときこそ企業個々の真価が問われるのです。

 2010年、積水ハウスは創立50周年を迎えるとともに、1月中にはこれまで建築した住宅が200万戸に到達する見込みです。私はこの年を、これまで積水ハウスを信頼し、支えていただいたお客様への感謝の気持ちを持って、新たな希望の光に向かって前進する、記念すべき年にしたいと考えています。

 その原動力となるのは、私たちの最大の強みである環境技術です。積水ハウスは、環境を基軸に業界をリードする数多くの実績を積み重ね、環境省から「エコ・ファースト企業」の認定を受けました。重要なことは、私たちは住宅建設単体で環境を考えているのではないということです。最高レベルの快適性・経済性と大幅なCO2削減を実現した「グリーンファースト」モデルの提案はもちろん、生産からリフォームに至るまでのゼロミッション活動やオーナー住宅買取再生事業「エバーループ」、生物多様性の保全に貢献する「5本の樹」計画など、これらの取り組みは企業活動全般にわたっています。今後も、環境を流行やイメージで語るのではなく、環境を旗印に、確かな成長につながる地に足の着いた活動を続けてまいります。

 日本政府は、温室効果ガスを2020年に1990年比25%削減するという中期目標を世界に向けて宣言しました。家庭部門でのCO2削減がますます求められ、私たち住宅メーカーに課せられた責任は重大です。太陽光発電システムや家庭用燃料電池への補助金、住宅版エコポイント制度をはじめ、住宅ローン減税や贈与税の非課税枠拡大など、政策のバックアップを追い風としてしっかり受け止め、今こそ住宅業界かが温暖化対策や景気回復のけん引役となるべき時です。

 不況の閉塞感の中で時代は停滞しているのではなく、急激に変化しています。その変化に対応するスピード感を持つとともに、50周年に向かって力強く一歩を踏み出し、積水ハウスグループ全体の躍進につなげてまいります。

■大和ハウス工業(株) 代表取締役社長 村上健治氏

 昨年は100年に一度の不況といわれる中で、国内では政権交代が起こり、海外では中国やインドなどの新興国の影響力が強まるなど、世の中の根本的な構造が変化する年でもありました。また、厳しい経済環境のもと、企業の優勝劣敗は加速し、「勝ち組」にならなければ生き抜くことができない状況です。

 この不況下において当社が「勝ち組」として生き残るためには、社員一人ひとりの『気づく力』と『スピードある挑戦』が必要不可欠であると考えます。

 『気づく力』を鍛えるためには大事な点が3つあります。1つ目は、専門分野のみならず、あらゆる事柄に関心を持ち、情報を受け止める器を大きくすることです。2つ目は、過去の成功体験や古い常識を捨て、現状に甘んじない姿勢を持つことです。3つ目は、当事者意識を持って仕事をすることです。私達のお客様の立場に立って物事を突き詰めて考え行動することです。皆さんには、『気づく力』を鍛え、変化する情勢の中で「変進力による先読み経営」を実践してもらいたいと思います。

 『スピードある挑戦』とは、当社が創業当時より掲げてきた「行動第一主義」の実践です。孫子の「巧遅(こうち)は拙速に如かず」という言葉にもあるように、計画に時間を費やすより、すぐに行動に移すほうが良い結果が得られるのです。しかし、最近では、頭でっかちで足腰が弱くなり、『スピードある挑戦』が鈍っているのではないかと危惧しています。先行きの読めない状況下においては、その場でじっとしていることでさえ、リスクとなるのです。

 今年の干支の“寅”のように、周囲の気配に敏感に反応し、目標を決めたらすばやく決断し行動してください。

 最後に、新しい年を迎えるにあたり、「志」という言葉を皆さんに伝えたいと思います。この「志」という字には、時代の閉塞感に負けず「青雲の志」を持って突き進んでいきたいという願いをこめています。当社は創業以来、不況に負けない強い足腰を持ち、積極精神と創意工夫で今日まで発展してきました。現在の経営環境は厳しく、先行き不透明感が漂う状況ですが、このような時こそ原点に立ち返り、高い志を持って事にあたってください。「ピンチをチャンス」に変えて、全社一丸となってスクラムを組み、今年一年を乗り切っていきましょう。

■三井ホーム(株) 代表取締役社長 生江隆之氏

「暮らし継がれる家」に想いを込めて

 あけましておめでとうございます。

 おかげさまで当社は昨年 10月の創立35周年を経て、36回目の新年を迎えました。これもお客様をはじめ関係各位の皆さまのご支援の賜物と心より御礼申し上げます。

 さて、昨年の日本経済は一部に回復の兆しがみられたものの、全体的には世界同時不況の影響が続き低迷しました。住宅市場は住宅ローン減税の拡充や長期優良住宅法の施行など需要の下支え効果もありましたが、景気低迷による雇用や所得の先行き不安から住宅取得マインドの本格的な回復には至っておりません。着工戸数も100万戸を大幅に下回る見込みで、この厳しい事業環境は当面の間続くとみざるをえません。一方、昨年末に創設が決定された住宅エコポイントや、住宅取得等資金に関する贈与税非課税枠の拡大などによる需要喚起に大いに期待しております。

 当社が創立35周年を機に掲げた新ブランドメッセージ「暮らし継がれる家」とは、お客様に私たちの住まいづくりのこだわりを共感いただき、愛着を持って永く暮らしていただける家であり、地球環境にやさしく、時間の経過とともに味わいを増し、街並を形成する家でもあります。当社はツーバイフォー工法のリーデングカンパニーとしてこのブランドメッセージを軸にお客様の夢や願いをかなえる役割を果たしてまいります。

 また今年は、主力の注文住宅はもちろん、医院等の非住宅建築にも、木造であるツーバイフォー工法ならではの質感とデザインを生かし注力するとともに、賃貸管理、リフォーム、オフィス・商業施設内装などのストック事業を中心に、グループ一体となって「暮らし継がれる家」の具現化に取り組む所存です。

 本年も皆さまのご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

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