ラサール インベストメント マネージメント(LIM)は24日、世界の不動産投資環境を包括的に調査したレポート「2010年不動産投資戦略」を発表、記者説明会を開催した。
開催にあたり、同社代表取締役兼CEOの中嶋康雄氏は、「1996年以来毎年1回、投資家向けに当レポートの発表を続けてきた。今回で16回目となるが、プレイヤーの出入りが激しいといわれるこの業界で、10年もの間、常に当社はトップ10に入り続けている。これはひとえにリサーチというバックグランドがあるから。ぜひ、グローバル、そしてリージョナル(地域的)な2010年の動向について紹介したい」とあいさつした。
同社は世界の不動産市場について、不動産の収益率が低下し、借入金利の支払いが難しくなることから、金融機関による不動産売却の圧力により、取引機会が発生すると予想。資本強化の動きは全般的にみられるが、実物不動産の価格およびパフォーマンスは地域ごとに異なり、例えばイギリスや香港などでは価格が上昇、スペインやイタリア、日本などでは価格が下落、アメリカやメキシコにおいては半麻痺状態が続くとした。
また、北米は失業率の増加とあいまって、ホテルやショッピングセンター、オフィスなど、すべてのセクターにおいて空室率が上昇し、売買価格は低水準で安定すると言及。
日本は、政府の債務残高に対する懸念から金利が急上昇、それにより、元利金の返済不能に陥った都心型商業施設などが売却される可能性があり、一方で投資家の投資意欲が上昇することから、取引高が増加すると指摘した。また、東京都心3区のAクラスビルのオフィス賃料は上昇基調に転じると予想した。