(社)日本不動産学会は19日、「すまい・るホール」(東京都文京区)にて、同学会設立25周年を記念したシンポジウムを開催した。
開会のあいさつに立った同学会会長の三橋博巳氏は「現在、日本は大変厳しい状況下にあるが、景気回復のために住宅や不動産をはじめとした土地利用の現象を、産・官・学が連携して解明することは非常に重要。今日の講演をもとに学会でも議論していきたい」と述べた。
シンポジウムでは、(株)ジパング・ホールディングスの増田悦佐氏が講演。テーマを「日本の不動産業は前途洋々」とし、人口の都市集中の余地が大きいこと、機能的な鉄道網がさらに良くなること、都市製造業の大規模化が進むことなどをその理由に挙げた。
また、政策研究大学院大学学長・日本不動産学会副会長の八田達夫氏が「不動産による景気対策と成長戦略」について講演。保育所や介護施設等における面積制限の緩和や、容積率や建替え規制の緩和など、供給の制約を外して新規産業の発生を促すことなどを成長戦略として挙げた。
最後に、国土交通省建設流通政策審議官の小澤敬市氏が「不動産市場の現状と今後の政策課題について」をテーマに講演。自民党政権時代は「供給サイドへの支援」を政策としていたが、民主党政権では「需要の創出」に注力しているとし、その一つとして住宅政策が重要な位置を占めていると言及。そのため、今後の成長分野として、住宅・都市政策を内需拡大の柱にすることを同省の方針としていると述べた。
不動産投資市場については、JREITへの資金呼込み先として、年金資金・海外資金とともに「郵貯マネー」を検討していることを明らかにした。