シービー・リチャードエリス(株)(CBRE)は27日、2009年の「全国オフィスビル賃料改定動向」レポートを発表した。09年1月から12月までに賃料改定が行なわれたオフィスビルの賃貸借契約について、全国のビルオーナー・テナントからの約1,200件のアンケート回答を集計したもの。
三大都市(東京23区、大阪市、名古屋市)の平均賃料改定率は、東京23区が▲2.8%(前年比▲9.3ポイント)と、04年以来5年ぶりのマイナスとなったほか、大阪市▲6.2%(同▲6.1ポイント)、名古屋市▲7.1%(同▲4.3ポイント)といずれも2年連続でのマイナス。名古屋市は、2000年以降で最も低い水準となるなど、3都市とも賃料が大幅に低下している。
改定パターンの構成比を見ると、東京23区では「据置」改定の割合が51.2%、「減額」が38.6%、「増額」が10.2%となり、 08年は「増額」が主流であったが、09年は「据置」改定へとシフトした。
大阪市では「据置」47.1%、「減額」50.5%、「増額」2.4%、名古屋市では「据置」37.4%、「減額」62.6%、「増額」0%となり、どちらも08年は「据置」から、「減額」が主流となった。
各都市とも「減額」の割合は00年以降最も高い水準となっており、「増額」はほとんど見られなかったことから、オーナーにとっては厳しいマーケット環境へ転じた1年であったとしている。
今後のオフィス市況感について同社は、各都市とも「良くなっていく」の割合はほぼ変わらないものの、「悪くなっていく」の割合が低くなるとしている。
ただし、継続賃料の改定と空室率には高い相関関係がみられ、これらの推移を見ると、東京23区は空室率が5.0%を下回らないと継続賃料が増額基調へと転じ難く、これが大阪市、名古屋市では6.0~7.0%程度となっていることから、継続賃料が増額基調へと転じるには今後しばらく時間を要すると考察している。