
三井不動産(株)は、ユビキタス(いつでも、どこでも、だれもが恩恵を受けることができるインタフェース、環境)技術を活用したサービスを、同社が運営する商業施設「ららぽーと柏の葉」(千葉県柏市)で試験運用を開始した。
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(東京都品川区、所長:坂村 健・東京大学教授)と共同で開発を進めてきたもので、総務省の「平成21年度ICT経済・地域活性化基盤確立事業」(ユビキタス特区事業)で確立した基盤システムを利用している。
試験運用されるサービスは、(1)Let'sサイネージ、(2)インフォスコープ、(3)スマートパーキング。「Let'sサイネージ」は、施設内に設置した「デジタルサイネージ端末」に、QRコードが印刷された冊子やチケット等をかざすことで、店舗情報などが表示される。また、管理者やテナント関係者からの情報がリアルタイムに提供されるほか、来場者の投稿機能も用意した。
「インフォスコープ」は、AR(拡張現実)技術を応用し、現在開発が進められている「柏の葉キャンパス」駅前の148街区を対象にした「建築計画建物紹介サービス」を開発。インフォスコープ端末を建築計画中の場所に向けることで、建築予定のビルが現在の風景に重なって表示され、そのビルの情報を合わせて提供する。
「スマートパーキング」は、高精度測位を利用した端末を使い、駐車車両の位置を特定。利用者に、携帯電話やデジタルサイネージ端末を介し、駐車位置を提供するもの。
同社は、9月4~20日までの試験運用により得られた成果をもとに、他の施設への導入を検討していく。試験運用にあたり会見した同社代表取締役副社長の大室康一氏は「柏の葉に住んでいる方々は、このような最先端技術に関心が高い人が多い。住民だけでなくこの街に集う人達にもどんどん利用していただき、新しいコミュニケーションを作り上げ、ICTによるまちづくりをアジア諸国に示していきたい」などと抱負を語った。