(社)全日本不動産協会傘下の全日関東流通センター(運営委員長:川口 貢氏)は27日、全米リアルター協会(NAR)日本担当のジェイスン渡部氏を講師に迎えた講演会を開催した。
同氏は、アメリカ不動産市場の現状とMLSをはじめとした不動産流通システムについて解説した。現在の市況については、(1)170万件を超えると言われる記録的な差し押さえ物件数、(2)約450万件、12.5ヵ月分に及ぶインベントリー(在庫)、(3)4月30日に打ち切られた一次取得者への税金補助、(4)金融機関の住宅融資引き締めの継続、(5)8月の中古住宅成約件数は前年同月比27%減、などのデータを挙げ、「消費者の不安感は強く、市場は過去最悪の状況にある」としたうえで、「価格調整は底を打ち、今後の調整幅は微々たるもの。雇用率上昇と住宅ローン融資姿勢の緩和がなされれば、市場は急激に回復する可能性がある」と指摘した。
また同氏は、NARを通じた「国際不動産仲介ビジネス」への参画を、参加者に呼び掛けた。アメリカの不動産物件を購入したいという顧客を、NAR会員のブローカーやエージェントに紹介。成約した場合、買い仲介手数料の20~25%を紹介手数料として支払うもの。NARの統一物件情報フォーマットやマーケットデータ、翻訳精度の利用により、円滑に取引を推進できるという。