(社)リビングアメニティ協会は11日、すまい・るホール(東京都文京区)で設立20周年記念講演会を開催し、(株)リクルート住宅総研主任研究員の島原 万丈氏と明治大学理工学部建築学科教授の園田 眞理子氏が講演した。当日の参加人数は、会員や関連事業者ら約200人。
冒頭、同協会の専務理事の居谷献弥氏は、「BL部品の開発を中心に、シックハウス対策やバリアフリー化、省エネ対応、防犯性能など社会の要請に対応して性能を確保し、部品開発・標準化してきた」などと歴史を振り返り、「優良住宅部品は、住宅の作り手と住まい手の共同作業の結実であり、より良い住宅のアメニティーを求めていく」などと挨拶した。
また、同協会広報部会長の村田幸隆氏はこのほど発行した「20周年記念誌」を紹介しながら同協会の事業活動を説明。「今後、環境、高齢化、安心・安全、健康などをテーマに、より一般ユーザーを意識した取り組みが必要。既存住宅の改修で住宅業界を活性化させ、膨大なストック市場を10年単位でより良くしていく」などと述べた。
島原氏は、「住宅市場の構造変化と消費者の住意識~リノベーションがカギを握るストック型社会の実現」と題して講演。現在30歳前後のいわゆる「ポスト団塊世代」の新しい価値観や感性を紹介し、住宅選びの新しい価値領域として「リノベーション住宅」の可能性を解説した。
園田氏は、「超高齢社会に向けたイノベーション~五感のバリアフリーとアメニティー」と題して講演。社会全体として0歳~100歳以上の人が同時に存在していることや、知的障害者、認知症高齢者、乳幼児ら、いわば「沈黙している人」が建築・設計に対して感じていることなどを紹介したうえで、「人の安心・快適な受感を損ねる建物側の妨害要素を取り除き、多様な存在に対して設計や設備が通用する範囲を拡大させるべき」などと呼びかけた。