国土交通省は、29日開催された社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:越澤 明氏・北海道大学大学院教授)で、住生活基本計画(全国計画)見直しの骨格案を示した。
「住生活基本計画」は、量の確保から質の向上に住宅政策を転換すべく、ストック重視・市場整備の施策展開の指針を示したが、制定から5年を経ても、既存住宅の流通・リフォーム市場が欧米と比較して充分形成されていない、家庭部門のCO2排出量が大きく増加している、住宅の耐震化ペースが遅いといった課題を抱えたままとなっている。そこで、こうした住生活を取り巻く状況の変化を踏まえた、新たな時代の住生活基本計画を策定。ストック重視・市場重視の施策を加速するのが狙い。
骨格案では、基本的な施策の一つである「多様な居住ニーズが適切に実現できる住宅市場の整備」の中に、「既存住宅の活用」および「住損住宅の活用の前提となる良質なストック形成」と明記したほか、新たな政策目標として「暮らしの豊かさを拡げる生活環境の構築」をあげ、高齢者や子育て世代の豊かな暮らしを支えるサービス環境の構築、低炭素社会に向けた暮らし方の提案などを盛り込んだ。また、「既存住宅の管理及び再生による安全性の確保」を追加。住宅の耐震化、マンションの適正な管理・再生を課題に掲げた。
これら施策展開の効果を定量的に判断するための「成果指標」についても、同時に見直しを行なう。新たな成果指標として、(1)取引時・リフォーム時に瑕疵担保保険に加入した既存住宅の年間戸数、(2)新築住宅における認定長期優良住宅の割合、(3)新築住宅における省エネ基準達成率、(4)30年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合、(5)高齢者人口に対する高齢者向け住まいの割合、などが盛り込まれる予定。
同省は今後、同審議会において、全国の都道府県からの意見を聴取したうえで、2~3月中の閣議決定をめざす。