トヨタホーム(株)は、老朽化で取り壊しの危機にあった江戸時代末期の建物「有松町家」(名古屋市緑区)の再生保存事業において、名古屋市から感謝状を受領したと発表した。
再生保存したのは、旧東海道沿いにある旧「中舛竹田家」(平屋建て、建築面積222.3平方メートル)。老朽化により耐震、防火、防水などの面で改修が必要だったが、保存には費用がかかり過ぎるほか、維持管理のための資金調達も困難なことなどから、取り壊してアパートを建設する計画が出ていた。
しかし、安藤広重の版画にも、同町家を写実したと思われる作品があるなど、文化遺産的価値が高く、保存を望む声が多かった。そこで、デイサービスセンターと高齢者優良賃貸住宅とを組み合わせ、建築資金不足の一部を補うとともに、不足する高齢者福祉施設に活用。同社は、旧建物の老朽診断、町家再生後の活用案、事業資金捻出の仕組みを提案するとともに、計画実現までのサポートを行なった。
10年1月に着工し、建築面積165平方メートルの平屋建てに再建築。11年2月よりデイサービスセンターとして運用を開始。敷地奥に建てられた高齢者優良賃貸住宅(総戸数8戸)は、2階建て、延床面積297平方メートル。高齢者優良賃貸は10年6月に、町家再生は同年10月に完成。総事業費は約1億2,700万円。