国土審議会政策部会内に設置された「長期展望委員会(委員長:大西隆東京大学大学院工学系研究科教授)」は22日、「『国土の長期展望』中間とりまとめ」を発表した。人口減少の進行、急速な高齢化等を踏まえ、現状のまま推移した場合について、2050年までの国土の姿を定量的・可視的にわかりやすく描き出し、将来の国土に関する課題を整理・検討することが目的。
同とりまとめでは、(1)長期展望の前提となる大きな潮流、(2)地域別にみた人口減少及び少子高齢化、(3)人口、気候等の変化がもたらす人と国土の関係への影響、(4)今後実施すべき複数シナリオによる検討の例、の項目別に報告を行なっている。
(1)では、わが国の人口は長期的には急減する局面にあるとし、50年には日本の総人口が3,300万人減少すると推計。また、気候は大きく変動し、気温は2度上昇、積雪量が多い地域は本州以南では富山県の一部にみられるだけとなると予想した。
(2)では、国土の大部分で人口が疎になる一方、東京圏等に集中が起きると予想。世帯類型についても、単独世帯が約4割となり、特に高齢者単独世帯が増加し、単独世帯の5割超となると推計した。
(3)については、気象上昇の影響により、50年には植生帯のポテンシャルが北方または高地へ移動する可能性があると指摘。
(4)では、少子化対策が功を奏し、出生率が2.0にまで回復したフランスを例に、同じテンポで出生率が回復すると仮定した場合、50年では総人口1億人を維持し、2100年でも約9,000万人となると推計した。
また、今後はこうした現象が及ぼす影響や生じる課題を整理・検討していく必要があるとしている。
本中間とりまとめを踏まえ、同部会では次年度さらに検討を行なっていく。
なお、本文については国土交通省ホームページを参照のこと。