(株)ニッセイ基礎研究所経済調査部門主任研究員の斎藤太郎氏は30日、「2011・2012年度経済見通し」を発表した。
同研究所では、11日に経済見通しを公表していたが、その後発生した「東北地方太平洋沖地震」を受けて内容を改定したもの。
改定後と実質GDP成長率は、10年度が2.8%(前回発表比:▲0.2ポイント)、11年度が0.1%(同:▲1.6ポイント)、12年度が2.7%(同:1.0ポイントプラス)と、11年度の成長率を大幅に下方修正した。
その理由として、いまだ被害の全容把握が困難であることや、死者数が阪神淡路大震災を大きく上回る1万人を超えていること、23日に公表された「月例経済報告」で被災地全地域の毀損額が16兆~25兆円とされており、人的被害や物的被害において過去最悪となることが確実視されていることなどを挙げた。
また、地震後に発生した福島第一原子力発電所の事故の収束のめどが立っていないことなどから、今後の展開次第では国民生活や経済への悪影響が深刻化される恐れがあるとしている。
震災で毀損したストックを再建するための復興需要を、11年および12年でGDPの1%程度と見込んでいるが、電力不足に伴う経済の停滞が影響し、投資抑制で相殺されるとしている。
また、資材調達や火力発電再開に伴う鉱物燃料の需要増などから輸入は増加基調が続くことが見込まれ、貿易収支はリーマンショック以来の赤字となると見込んでいる。
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