住友林業(株)は12日、2011年3月期決算説明会を開催した。
当期(10年4月1日~11年3月31日)は、戸建注文住宅の販売棟数が増加し、木材・建材流通事業などの販売が好調に推移。売上高は前期比10.2%増、当期純利益は同117.7%増の増収増益となった。
東日本大震災により注文住宅事業で約60棟の引渡しに遅れが出ており、震災特別損失は7億8,000万円を計上した。津波によって原木が流されたり、事務所や展示場の一部に被害が出たが、稼働停止となった鹿島工場は3月28日に再開。現在、すべての事業所が平常営業となっている。
ゴールデンウィーク期間中の同社展示場来場者数は、消費マインドの低下により、全国平均で約12%マイナスとなった。しかし、4月の受注は前年同期比11%増加、棟数は4%増加した。同社代表取締役社長・市川 晃氏は「地震によって倒壊した建物はなく、GSパネル(地震エネルギー吸収パネル)に手ごたえを感じている」と述べたほか、応急仮設住宅の建設について「すでに宮城県と福島県で着工しており、現在、被災地には補修部隊を送り込んで被災状況を確認している。復興に向けてできる限り貢献していきたい」などと話した。
今後の事業方針については、木材建材事業で住宅資材物流事業、工務店等への業務システムを提供する「JHOP」など新規事業展開を加速させるとした。住宅事業では、BF構法およびGSパネルを拡販し、安全性や耐震性を訴求。また、愛知県を重要エリアに位置付け、人員拡充や展示場展開を実施していく。海外事業や、不動産事業、リフォーム事業にも引き続き経営資源を投入し、国内住宅着工戸数に依存しない事業ポートフォリオの構築をめざしていく。
12年3月期は、売上高は8,150億円(前期比2.2%増)、経常利益は185億円(同8.8%増)の増収増益を予想している。また、07年発表の長期経営計画の数値は、事業環境の変化に対応して取りやめ、3年以内に経常利益200億円を安定的に達成するように目標を見直した。
なお、同社11年3月期決算に関するニュースはこちら。