
三井不動産販売(株)代表取締役社長の竹井英久氏は24日、専門誌記者と会見し、2011年度の事業戦略等について発表した。
同社はここ数年間、積極的な店舗展開と営業人員増を図り、前期末店舗数は過去最高の255店舗(うち首都圏は174店舗)、営業人員は1,900名に達した。ただし、今期については、震災の影響を考慮し、首都圏での店舗展開については慎重に対応する。「4月の首都圏成約件数は、前年比数%ダウン。3月の集客減が響いた。売りユーザー数は10%増えているものの、買いユーザー数は10%ダウンしている。都心富裕層や湾岸エリア、湘南エリアなどで反響減が目立った。これが5月、6月とボディブローのように効いてくるものと危惧している」(竹井氏)。
ただし、首都圏以外での店舗展開は継続し、取引件数を増やすことで、仲介収益基盤を安定させる。「関西圏の伸びしろは大きい。取引件数の伸びも、全国ベース(8%)のほぼ倍。前期末の店舗数は35店だが、50店舗を目指し店舗展開を進めていく」(同氏)。
一方で、仲介事業の再編を加速する。同社の仲介事業は、リテール中心の「リハウス」、都心富裕層向け高額・コンサルティング営業を手掛ける「リアルプラン」、法人向け大型案件を手掛ける「アセットコンサルティング(リアセット)」の3段構えだが、「リハウス店舗でも富裕層向けのコンサル営業や高額物件を取り扱うケースが増えており、店舗を分ける意味がなくなってきた。将来的には、どの仲介店舗でも、あらゆる案件を取り扱えるよう、仲介事業のシームレス化をめざしていく」(同氏)。リアルプランは、前期郊外立地の3店舗を閉鎖し現在6店舗で展開している。
なお、今期の業績見通しについては「第1四半期については、様子を見ていかなければならないだろうが、前期なみの伸びをめざしていくことになる。市場環境はあまり意識せず、仲介件数ナンバー1を堅持していくことで、利益性をより高めていきたい」(同氏)とした。