森トラスト(株)は1日、2011年の「東京23区の大規模オフィスビル供給量調査」を発表した。各種公表資料や現地確認およびヒアリングにもとづき、延床面積1万平方メートル以上のオフィスビル供給動向を、1986年から調査しているもの。
11年の供給量は137万平方メートルで、過去20年の平均(108万平方メートル)を大幅に上回る。ただし、今後の供給量については、12年が162万平方メートルと平均を上回るものの、13年以降は供給量抑制傾向に向かうため、今後4年間の平均供給量は111万平方メートルと、過去の平均水準なみにとどまると予測。特に、都心3区以外の供給量は賃貸オフィス市況低迷を受け、13年以降著しく減少するとしている。
11~14年の供給量は、都心3区が全体の約6割となる見通し。23区別のシェアでは千代田区(35%)、港区(14%)、中央区(11%)が上位を占める。地区別では「大手町・丸の内・有楽町」の供給量が突出しているものの、「大崎・五反田」や「西新宿」などの地区もシェアを伸ばしており、供給エリアの分散傾向が伺える。開発用地別では、都心3区の「建替え」による供給が8割を超える見通しで、東京駅周辺など従来から大規模ビルの集積するエリアに供給が集中する。「再開発」による供給は増加するが、比較的短期間で開発可能な「国公有地」での供給は皆無となる。
同社は、今後のオフィスビルマーケットについて「東日本大震災の影響から、賃貸オフィス市場で安全性や信頼性に優れたビルを選好する傾向が強まっている。今後のオフィスビル計画は、先進かつ高度な制震構造・免震構造の導入や非常用電源の増強等、災害リスク対策を強化したものになる」と示唆。また、23区内オフィスは、老朽ストックの更新が急務であることから、「災害に強い安全な防災都市の実現を前提に、官民一体となって都市の再構築を進める必要がある」としている。