国土交通省は14日、「平成22年度土地に関する動向および平成23年度土地に関する基本的施策(平成23年度版土地白書)」を策定した。
「土地白書」は、土地基本法第10第1項および第2項の規定にもとづき、土地に関する動向および政府が土地に関して講じた基本的施策、また、講じようとする基本的な施策について、毎年国会に報告しているもの。
「平成22年度土地に関する動向」では、前半においては、平成20年9月のリーマンショック後の大幅な景気後退からの持ち直しの動きが引き続きみられ、夏には猛暑によるプラスの効果もみられたものの、急激な円高、猛暑効果の反動等の影響もあり秋以降足踏み状態となった。平成23年に入ってからは、持ち直しの動きがみられたものの、3月11日に発生した東日本大震災は、地震やそれに伴って発生した津波の被害に加え、その後の電力供給の制限等に伴う影響と相まって、わが国の経済活動にも影響を及ぼすと考察している。
震災の影響を受けた東北地方を中心とした不動産市場の影響として、(1)仙台のオフィスについては新耐震のビルなどが多かったことから被害は比較的小さく、地域外へのオフィス移転を具体的に模索する動きはほとんどみられない、(2)JREITについては、いったん乱高下したものの、日銀による買入れの動きもあり、地震発生から数日で落ち着きを取り戻し、その後安定して推移した、(3)建設資材については、生産設備の損壊、輸送上の問題などにより被災地以外の地域にも影響が及んでいる、(4)電力供給の制約などが首都圏を中心としたオフィス・住宅市場に与える影響への注意が必要である、(5)円滑な復興の実現に向けて、被災地における土地取引の動向などにも留意する必要がある、とした。
今後の復興に向けた課題として、土地の境界画定や資産額評価の問題などを挙げた。
また、「平成23年度土地に関する基本的施策」は、不動産取引に関するものとして、不動産取引価格等の調査を引き続き全国で実施し、得られた取引価格等の情報を四半期毎にインターネットで公表する。平成24年度以降の試験運用とその後の本格運用に向けて不動産価格指数の作成・検討を進めるほか、不動産取引市場の整備では、宅地建物取引業法の的確な運用、指定流通機構制度等を活用した不動産流通市場の整備に加え、環境価値を重視した不動産市場の形成や、土壌汚染地の取引円滑化等を促進するため、インターネットを活用した環境不動産ポータルサイトや土壌汚染データベースの運営等を行なうと定めた。
詳細は同省ホームページを参照のこと。