シービー・リチャードエリス(株)(CBRE)は28日、首都圏の賃貸物流施設の空室率(2011年6月期)を発表した。東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県にある延床面積1万坪以上の物流施設54棟を対象にヒアリング調査をしたもの。
首都圏のマルチテナント型賃貸物流施設の平均空室率は3月期から0.8ポイント上昇し7.0%ポイント。新築物件を中心に空室消化が進んだことや、短期契約の解消も限定的だったことから、期中2棟が竣工したにもかかわらず小幅な上昇に留まった。新築物件を除く既存物件空室率は4.2%まで下がり、高水準の稼働が続いている。
需要の中心は、アパレル・通販やスーパー・コンビニエンスストア・家電量販店などの消費財を扱う企業の拠点再編を目的とした移転で、特に通販企業の業績拡大にともなう大規模な賃貸物流拠点の開発が目立った。震災が生産活動に与えた影響は甚大だが、首都圏では流通施設に対する需要は底堅く、大型で高スペックな物流施設に注目が集まっている。同社は「湾岸部ではまとまった面積を確保するのは難しくなっており、多くのエリアで大型物流施設の品薄感が出ている借手市場であった大型物件の賃料水準も、一部のエリアでは下落基調に歯止めがかかった」と見ている。
また今後の見通しについても首都圏全体の空室率が大きく上昇する懸念は少ないと見ており「新規に物流施設の開発用地を探す動きが実際に出てきており、2012年以降は新たな開発計画が加わる可能性は高い」としている。