(社)住宅生産団体連合会(住団連)は2日、「東日本大震災からの地域復興と災害に強い国づくりに向けての提言」を取りまとめた。
同提言では、安全で安心して暮らせる国づくりに向けて、官民一体となり、自立再生エネルギー型住宅の促進やITなどの技術を駆使したスマートシティ等のまちづくりを積極的に推進すること、復興をめざすには日本経済の活性化が重要であるとして、夢や希望が持てる将来像を描きながら、世界のモデルケースとなるような地域の復興と災害に強い国づくりをめざすことなどを基本的な考え方とした。
地域の復興に向けては、(1)地域復興と地域再生のためのトータルビジョンの確立と実行、(2)住宅復興のための支援の充実、(3)地域再生のための新たな発想によるまちづくりの推進を掲げた。
(1)では、特区制度の活用や居住の場と産業の場の再編、自然エネルギーを活用した最先端のまちづくりなど、被災者が夢を持てるユートピア構想の提案が必要とし、(2)では、税制上の優遇支援など住宅再建の支援や、被災者のための良質な賃貸住宅の建設促進、高齢者のための住宅再生、家を失った被災者の住宅ローン債務については、一部免除・金利減免するなどの特別な配慮が必要だとしている。また(3)では、地域コミュニティの再生や、スマート・コンパクトシティ特区の創設、特区内の住宅にかかる消費税のゼロ税率の適用等を提言している。
災害に強い国づくりに向けては、住宅におけるエネルギー使用抑制のための支援の充実、住宅耐震化へのさらなる支援策の拡充、災害に向けての準備を掲げている。
これらを実現するために、自立再生エネルギー型住宅の普及促進への税制・金融支援制度の充実、耐震不足1,000万戸の早期解消に向けた耐震診断に対する国の全額補助や耐震改修に対する低利融資制度の創設、仮設住宅用資材の備蓄制度や用地の事前登録制度創設など供給体制の整備、などを提言している。
同日会見した住団連会長の樋口武男氏は「津波の被害を受けた地域は、過去の歴史に学んだのであれば、大きな被害は起きなかったはず。住むべき地域の規制なども踏まえて、将来夢のあるまちづくりを行なうユートピア構想の提案が必要となる。また、原発事故のトラブルが終息し、1日も早く国内外に安全・安心宣言をしてもらえるよう体制を整えてほしい」などと述べ、太陽光発電・燃料電池など創エネ機器への支援制度の拡充や、新規エネルギー関連機器への支援などを、重要要望項目として掲げた。