



三菱地所グループは1日、東京・丸の内エリアの自社ビルを中心とした総合防災訓練を実施した。同社の前身、三菱合資会社地所部が関東大震災時に救援活動を行なったことをきっかけに、震災3年後の1926年から毎年9月に実施しているもので、グループ社員800名余りが参加した。
今年は、東日本大震災での経験を生かし、想定震度を従来の「震度6強」から「震度7」へ引き上げ、新たに帰宅困難者対応の訓練を追加。東京消防庁と連携し、「新丸の内ビルディング」を舞台にした、大型はしご車を使った救助・消火訓練なども実施した。
当日は、地震発生シミュレーションに基づき、「丸の内ビルディング」内に「災害対策総本部」を設置。三菱地所取締役社長の杉山博孝氏などグループ役員などが「事業グループ対策本部」からの安否情報や被害情報を確認、対策を指揮した。また、「大手町ビルディング」内や丸の内ビルディング周辺に仮救護所を設営。けが人の搬送、応急手当てなどの訓練が行なわれた。
新たに加えた帰宅困難者対応訓練では、大手町ビルディングや丸の内ビルディングのロビーにブルーシートを敷き詰め、救援物資(毛布、飲料水、固形食糧、寝袋、サバイバルシートなど)を1人分ずつ仕分けし、床に並べていった。このほかにも、三菱地所設計(株)社員などがビルの安全性を目視で確認していく「建物応急危険度判定訓練」や通信インフラ断絶を想定した衛星無線電話による情報伝達訓練、浄水器・仮設トイレなど防災用資機材の作動習熟訓練なども行なわれた。
今回の訓練について、三菱地所ビル管理企画部長の辻 正太郎氏は「東日本大震災により、これまで積み重ねてきた訓練が間違っていなかったことが確認できた。今回の震災では、電気もガスも使えたため帰宅困難者への炊き出しなどもできたが、通信インフラの遮断など想定外のこともあった。首都圏が震源となれば、電気もガスも使えなくなる。そうしたなかで、帰宅困難者の安全確保と心理的負担をどれだけ軽減できるかを考え、今回の訓練に盛り込んだ。
大震災を経験したことで、昨年までとは緊迫感が違う。グループ社員それぞれが自分ができることを自問し、訓練に臨んでいる。ここで得られたものを、今後の防災対策にフィードバックしていく」などと語った。