(財)日本賃貸住宅管理協会研修委員会は27日、グランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)で、11年度第2回「経営者・幹部・実務者セミナー」を開催した。
7月15日に「更新料条項は有効」とした更新料訴訟の最高裁判決を踏まえ、貸主更新料弁護団代表の田中伸法律事務所弁護士の田中 伸氏を講師に迎え、同判決の意義や総括、今後業界に与える影響、具体的対応策などをテーマに講演を行なったもの。
同氏は、「最高裁敷引判決と最高裁更新料判決の内容と対策」と題した講演のなかで「更新料訴訟では4年3ヵ月という長い間争ってきた。今回の判決で、更新料条項が消費者契約法10条に違反しないことや、更新料の経済的合理性、消費者の利益を害さないことがはっきりした。高裁での無効判決が最高裁で全面有効となった意義は大きい。消費者保護も行き過ぎの場合は是正が必要」と話した。
同氏によると、最高裁が消費者契約法10条に該当しないと判断したポイントは、居住用賃貸マーケットが、現在完全な借手市場にあり、借主は過剰供給のなかから物件を選択できる状況であったため、判決の判断要素となる「情報力・交渉力の格差」が「居住用建物契約では存在しない」とされた点にあると分析。また、「更新料は高額に過ぎるなどの特段の事情のない限り有効」との判決は、あくまで含みのある表現に留まっており、高額であれば有効との明言はされていないので、誤解しないように(同氏)という点についても指摘した。さらに同氏は、礼金については“賃借人権利を設定する対価”としての主旨が明確なため、有効となる可能性が高いと説明。ただし鍵交換代・ハウスクリーニング代は“次の入居者のための行為”の場合もあること、更新事務手数料は、民法上で“契約に係る費用は折半する”規定があることから、無効の可能性もあるとの考えを述べた。