(社)全国宅地建物取引業協会連合会は13日、東京国際フォーラムで国土交通省後援による「住まいのセミナー」を開催。一般ユーザーを中心に200名を超える参加者を集めた。
セミナーではまず、解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司氏が「日本人はいかに住まうべきか」をテーマに講演。同氏は、「過疎地に行くと、よく使われなくなった家が潰されていくのを見る。これは大変もったいないことだ。こういう時代だからこそ、都会と田舎の“二重生活”を実践してはどうだろうか?都会では頭を使い、田舎では身体を使う。それだけ余計な労力を使うことになるが、物事を単純化することが人間にとって一番良くないことだし、努力することこそ生きるということ。田舎には残っている“共同体”としての家や地域の結びつきを再確認するのもよい」などと持論を展開した。
続いて、明海大学教授の中城康彦氏、CFPファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏、全宅連専務理事の市川宣克氏らをパネリストに迎えたパネルディスカッションを開催。今後の「住まい探し」のあり方について、各氏は「住まいは、住む人が元気を“充電”するところ。住まいがギスギスしていては、元気ももらえない。しっかりとした時間軸を持って取得計画をたててほしい」(八ツ井氏)、「不動産は経済価値だけが重要視されてきたが、今は地域性や可変性など多様な評価がなされている。これからの住まいは、時間が価値を高めていくようになる。しっかりとしたモノというだけでなく、コミュニティや人が育て、その想いを履歴として伝えていくなど、自らが参加して価値を高めていくべきだ」(中城氏)、「確かに中古住宅は質の悪いものもあるが、インスペクションや既存住宅の瑕疵保証制度などで、質の高い住宅を流通させていこうという動きが進んでいる。良い住まいを買い、しっかり維持していく、子供や孫の代まで長いスパンで住まい探しを考えた“空間的価値観”が重要になるのではないか。地域に根差した私たち全宅連会員も、そのお手伝いをしていきたい」(市川氏)などと語った。