旭化成ホームズ(株)は6日、大手町サンケイプラザ(東京都千代田区)でメディアを対象にした「くらしノベーションフォーラム」を開催した。
同フォーラムは、住生活提案型商品開発の基礎調査・研究を手がける同社の「くらしノベーション研究所」が主催し、定期的に専門家の講演を中心に開催しているもので、今回で6回目。今回は、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授の大月敏雄氏が「多様な家族が循環的に住み続けられるための地域と住まい」をテーマに講演した。
同氏は、「地域にさまざまな住宅があることで、多様な家族を引きつけられる」として、年間200戸を開発し、人口調整に成功している千葉県佐倉市のニュータウン・ユーカリが丘団地の事例を挙げ、「住宅の多様性が人口の循環を生み、地域にとって大きなプラスになる」ことなどを提言した。
続いて、くらしノベーション研究所の二世帯住宅研究所長の松本吉彦氏が「二世帯住宅における親子ネットワーク」をテーマに、へーベルハウスに住む顧客のアンケート調査結果を報告した。同氏は、調査対象者が別居でなく2世帯同居を選んだ理由が、30歳代前半(融合同居の場合)は「経済協力」、30歳代後半(分離同居の場合)は「育児協力」がトップとなっていることなどを紹介。親子同居住宅における介護配慮のあり方として、親世帯ゾーン・介護ゾーンの独立性を高め、家族のストレスを軽減することや、玄関・外部空間のバリアフリーにより外出しやすくし、地域社会へのつながりを強化することなどを提言した。
フォーラムの冒頭挨拶した、くらしノベーション研究所所長・熊野 勲氏は「近年、親子の関係、家族のあり方に変化が起きている。特に東日本大震災以降は家族とのつながりが見直され、シニア層の住み替えで子供との距離を縮める傾向が出ているなど、近居志向が進みつつある。フォーラムを通して、これからの地域や住まいのあり方がどうあるべきか考えていきたい」などと述べた。