


(独)都市再生機構(UR都市機構)は1日、UR賃貸住宅での高齢者や子育て世帯向け支援の取り組みを紹介するため、専門紙記者を招いての団地見学会を開催した。
同機構の高齢者支援は、「高齢者向け優良賃貸住宅」の供給による既存住宅のバリアフリー改装、緊急時対応サービスの体制整備、家賃減額などのほか、団地内の空き施設を活用した高齢者支援施設の誘致なども実施。ソフト面では、緊急時に速やかな対応できるよう高齢者に連絡先など事前登録してもらう「あんしん登録カード」、住宅管理センターの高齢者相談員が定期的に安否確認を行なう「あんしんコール」、団地内で高齢者専用の相談員「生活支援アドバイザー」の配置などを展開している。
一方、子育て世帯向け支援としては、空き施設の活用として、子育て支援事業者への優遇制度を設置。11年9月には「コソダテUR」と題した子育て支援のためのソフト・ハードに関する整備を総合的に行ない、一定の環境を備えた団地を登録し、専用ホームページで紹介している。
今回は、高齢者支援を行なっている「大谷田一丁目団地」と、子育て支援を行なっている「ハートアイランドSHINDEN」を見学した。どちらも東京都足立区に立地。
「大谷田一丁目団地」は、1977年管理開始、管理戸数は1,374戸。入居者のうち28%が65歳以上で、若年層は減少傾向にある。そこで、全戸のうち47戸を高優賃として提供。空き施設には足立区が相談窓口「ころつえシニア相談所」を設置。日中は相談員が常駐し、夜間は緊急通報システムにより24時間365日の相談対応を実施している。同機構の生活支援アドバイザーなどと連携しながら、高齢者の定期訪問やイベントをサポート。相談件数は当初月20件程度だったが、現在は100件程度まで増加した。
「ハートアイランドSHINDEN」は、04年管理開始、管理戸数2,837戸(分譲含む)。四番街が、ミキハウス子育て総研「子育てにやさしい住まいと環境」の認定を取得。団地内に集会室を改装した学童保育、住戸を活用したグループ保育スペース、親子交流や一時保育ができるキッズルームを設けた。キッズルームなどは周囲にある民間住宅の利用者も多く、地域との交流促進にもつながっている。
最後の意見交換会では、東日本賃貸住宅本部住まいサポート業務部部長の志村一徳氏が「当機構では、1985年頃から高齢者向けにさまざまな取り組みをしてきた。時代の変化のなか、ソフトサービスがより重要となってきており、ハコモノを提供するだけではない住空間総合サービスが必要だ。全国の400団地で個々にさまざまなことを進めている」などと述べた。