三井不動産(株)は8日、今後開発するオフィスビルを中心に、防災対策やBCPサポートを強化していくと発表した。
テナント企業の事業継続や館内滞留に必要な機能・環境を維持するための防災スペック向上に向け、オフィスビル設計指針を改定するもの。具体的な取り組みは(1)インフラ停止後72時間の電力機能確保、主要機能の維持、(2)帰宅困難者対応の強化、(3)「危機管理センター」の機能向上・スペース拡充、(4)防災関連ガイドブックの発行など。
(1)では、大規模災害時、ライフラインの復旧に3日間(72時間)を要するとの想定に基づき、全ビルで72時間運転可能な非常用発電設備を標準装備。エレベーター、トイレ、換気などの主要機能に電力供給をする。標準的なビルには、非常用発電設備から専用室内に15VA/m2の電力供給を行ない、テナント企業の事業継続を支援する。
エレベーターは、自動診断仮復旧運転ソフトを標準で実装し、一定レベル未満の揺れであれば、保守会社の点検を待たずに運転再開(仮復旧)を可能にする。トイレも、非常用井戸、雨水利用、汚水の再利用などによる雑用水の確保、緊急時用汚水槽などの設置により、停電時や上下水道が途絶しても使用が可能な仕様としている。
また(2)では、 在館人口相当人数の1日分の水・食糧の備蓄、簡易トイレ、医薬品、救護機材等の備蓄拡充、情報発信ツールの整備などにより、一定期間の建物内での滞留を可能にするほか、地域貢献として主要ビルで一般帰宅困難者を可能な限り受け入れる方針。