分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2011年のマンション市場を振り返りながら、12年の同市場を予測したレポートを発表した。
同レポートでは、11年のマンション市場を(1)供給戸数はほぼ前年並み、(2)都心回帰は継続したが、高額商品の販売鈍化で都心からやや外側にシフト、(3)分譲単価はやや低下、契約率も年間を通じて70%台後半と好調、(4)用地不足で激しい競合に、(5)建築費は超低水準で推移、塩漬け大型土地の減損着工で着工件数は大幅増、などとし、「東日本大震災後の危機的状況下でもマンション市場はフリーズせず、ニーズの底堅さを証明した」としながらも、「好立地物件でも価格の割安感がなければ検討外になるケースが増えるなど、エンドユーザーの物件選別基準に大きな変化が出てきた」と分析した。
一方、12年のマンション市場は、供給を11年比1割強増の4万8,000~5万戸と予測。顧客の選別眼がますます厳しくなり、価格面では一層の弱含みの展開が予想されるほか、高予算のアッパー層が株価の低迷や長引く不況で減少していることから、今年も7,000万~8,000万円台の商品は厳しいとした。ただし、顧客マインドについては「供給商品の好立地化と価格の割安感、低金利を背景に年の後半から回復してくる」とした。
そのほかの市場特性については(1)ますます、ブランド力の強い大手・準大手ディベロッパー中心の市場に、(2)郊外1次取得者向け物件の供給に目を向けるディベロッパーが増えるが、今後の供給予定や建売戸建てを含めた受給バランスに注意が必要、(3)好エリア・好立地志向の流れは継続、(4)1次取得者向け郊外価格勝負物件が拡大、(5)大型物件は集客減少による息切れや販売長期化のリスクに注意、などとし「エンドユーザーの購入体力、予算が低下し立地が良くても価格が高い物件は販売苦戦となる例が多く、売り値目線をより厳しくする必要がある」などとした。
レポートでは、「エンドユーザーはここ2、3年様子見を続けており、1次取得者に関しては今年後半より様子見から脱却し、購入検討を本格的に再開する動きに変化してくることも期待できる」とした上で、「
厳しいマンション市況の中で、ディベロッパー各社は将来の住宅の在り方といった長期的展望やエンドユーザーの声を直近の商品に反映させるかなど、次の時代を見据えた新しい可能性へチャレンジしていくことが重要」と結んでいる。