

三井不動産グループは9日、2012年度をスタートとする新たなグループ中長期経営計画「イノベーション2017」(12~17年度)を発表。同日、三井不動産(株)代表取締役社長・菰田正信氏と、住宅事業を受け持つ三井不動産レジデンシャル(株)代表取締役社長・藤林清隆氏、三井不動産リアルティ代表取締役社長・竹井英久氏、三井不動産リフォーム(株)代表取締役社長・尾崎昌利氏らが、報道陣と会見した。
同グループは、07年度にグループ長期経営計画「新チャレンジ・プラン2016」をスタートさせていたが、リーマンショックや東日本大震災、欧州債務危機などにより事業環境が大きく変化したことから、新たな経営計画を策定した。
新たな経営計画では、グループが直面する課題として「国内市場の成熟化」「市場のグローバル化」「都市化の進展」などを挙げ、これらに対応するために、国内事業の競争力強化とグローバル化への取り組みに注力する。
国内事業では、さまざまなハード・ソフトを組み合わせた「スマートシティ」づくりを推進。また、さらなる拡大成長が期待できる住宅流通事業・リフォーム事業に注力。顧客ニーズの多様化・高度化に応えていくため、新たにグループ住宅関連各社の営業拠点を1ヵ所に集め、ワンストップソリューションを提供する総合型店舗「三井のすまいモール」展開と、グループが供給・管理する住宅ユーザーへさまざまなサービスを提供する「三井のすまいLOOP」をスタートする。
海外での事業展開については、欧米ではオフィスビル賃貸事業を中心にポートフォリオ拡大を図るほか、中国を中心としたアジアで需要が拡大する住宅分譲事業を展開。計画期間中約5,000億円の海外投資を行なう。投資比率は欧米が6アジアが4。これらの実現により、17年度の営業利益2,400億円以上(11年度予想比96.7%増)、当期純利益1,100億円以上(同129.1%増)を目指す。
説明に立った菰田社長は「さまざまな課題を解決していくことで、新たな成長分野が誕生してくる。当社グループは、次代を先取りしたイノベーションを続けてきたDNAがある。今後も、そうしたイノベーションをさらに加速させ、不動産業を進化させていきたい」などと抱負を語った。
また、同時に発表された三井不動産リアルティの中長期事業戦略では、既存住宅流通ボリュームの安定的な増加傾向を背景に、組織の効率化、関西方面を中心とした空白地域への店舗出店、営業社員教育の強化と人員増などにより、17年度の仲介事業での営業収益675億円(10年度比23.4%増)、仲介取扱件数4万3,616件(同25.8%増)を目指すとした。
三井不動産リフォームは、3大都市圏に特化し、マンションリフォーム強化、三井のリハウスと協働した仲介時リフォームの強化、事業用資産のリノベーションなどにより、17年度営業収益を11年度の7倍となる700億円とする方針。