全米リアルター協会(NAR)2013年度会長のギェリー・トーマス氏をはじめとした幹部5名が来日。16日、会見を行なった。
今回の来日は、東日本大震災の被災地訪問と、日本の既存住宅流通市場の現状把握・米国との流通システムの相違点などについての不動産業界団体との意見交換が目的。
NARはかねてより、米国と世界各国との国際間不動産取引の活性化に力を入れており、現在世界60ヵ国・81業界団体と相互協約を締結しているほか、世界各国の不動産情報を閲覧できる「リアルタードットコム国際版」を2011年11月にスタート。16ヵ国が物件情報を提供している。
同協会では、日米間の国際不動産取引を活性化させるための課題として「消費者保護のため、不動産取引の透明性をあげること」「リフォームなどの投資により、売買価格が維持できるシステムの必要性」などを挙げている。「アメリカでは、インスペクションやエスクロー、弁護士といった第三者のプロにより取引を細分化することで、取引の透明性と消費者保護を図っている。日本の不動産業者は、これらの責任を負わされている。また、既存住宅に手を加えたコストが売買価格に反映されれば、リフォーム仕様、住み替えようというモチベーションにつながってくる」(NAR日本大使・ジェイスン渡部氏)。
同協会幹部は、業界団体に対し、両国の国際不動産取引拡大へ向け、日本固有の不動産取引慣習を踏まえつつ、透明性と消費者保護を前提とした取引手法の在り方について提言する方針。また、具体的にどのような国際不動産取引が行なわれているのかをモニター・統計するシステムの構築についても議論する。
ギュエリー・トーマス会長は「両国が最もベストな取引方法を取り入れ、不動産取引の国際化を図っていきたい。現在、日本からどのような不動産投資が、どれほど行なわれているかについては詳細な検証ができていないが、当協会の調査では米国への不動産投資額では世界第10位程度にランクインしている。今後、取引慣習の相違点を解消していくことで、最低でも世界トップ5以内まで引き上げたいと考えている」などと語った。