三菱地所(株)は26日、環境モデルビル「(仮称)茅場町計画」(東京都中央区)を6月に着工するに当たり、プレス向けの説明会を開催した。
同社はこれまで、オフィスの生産性・快適性と環境性能が両立する環境技術の確立を目指し、自社オフィスや丸の内の環境戦略拠点で、実証実験を進めてきた。今回のプロジェクトは、その検証結果を踏まえ、自社オフィスでなくテナントビルに最新の環境技術を盛り込み、実際にテナント企業に利用してもらいながら、検証データを蓄積するのが目的。「太陽光発電など既に信頼性や汎用性が確保された技術ではなく、実用化に向けまだ検証が必要な技術で、これまで個別に検証を進めてきたものをまとめて導入し、快適性や生産性、導入コストなどを検証する」(同社ビルアセット開発部参事・雛元昌一郎氏)。検証データは、今後開発する同社の大型ビルにフィードバックする。
建設地は、東京メトロ日比谷線「茅場町」駅徒歩1分。敷地面積約380平方メートル、延床面積約2,900平方メートル。地上10階地下1階建てのオフィスビルを建築する。
個々のユーザーが最適と感じる照明の照度や色温度を人工知能で制御する「知的照明システム」や、オフィス全体の照度や色温度を時間帯やシーンに応じて調整する「環境配慮型次世代照明システム」、人感センサーによる自動調光システムなどの照明システムを導入。
また、快適性を高める空調システムでは、温度差のある物の熱移動を利用した輻射空調と建物躯体に冷蓄熱する「躯体蓄熱」を組み合わせた「ハイブリッド輻射空調(放射空調)システム」や、2層の吹き抜け空間の高低差を利用し自然換気を行なう「二層吹抜自然換気システム」や、日射遮蔽ルーバー(エコグリッド)などを採用する。これらの技術を導入することで、一般のオフィスビルに比べて使用エネルギー(CO2換算)を約45%削減する。
総工費は約18億円。環境機器の導入によりコストアップしたが、国土交通省「住宅・建築物省CO2先導事業」による補助金で賄っている。竣工は、2013年5月の予定。