(独)建築研究所は7日、第7回目となる専門紙記者との懇談会を開催。つくば市で発生した竜巻による建築物の被害状況や、すでに公表済みの「東北地方太平洋沖地震被害調査報告」(http://www.kenken.go.jp/japanese/contents/topics/20110311/0311report.html)を踏まえた今後の震災対応策等について報告した。
竜巻による茨城県内の人的被害は、死者1名、軽傷者42名。住家被害は、全壊75棟、半壊160棟、一部損壊524棟だった。現地調査で得られた被害状況結果を踏まえ、今後は被害発生メカニズムや被害分布状況、過去の被害事例との比較など、さらに詳細な調査分析を行なっていく考え。
震災対応策については、津波被害調査結果を踏まえ、今後は水理実験やシュミレーションを行ない、津波波力に及ぼす開口や浮力の影響、および浸水深が大きな場合の津波波圧の算定に関する知見を取得し、津波避難ビルの構造設計法の合理化を目指していく。
併せて、わが国のエネルギー消費量の約30%を占める民生部門(家庭部門、業務部門)のエネルギー消費量が増加傾向であることを指摘。ルームエアコンや業務ビルの熱源機器の性能に関する実験を行ない、実際の運転条件下でどの程度の性能を発揮し得るかを解明するための研究を実施していくという。
なお、iPadおよびiPhone等のiOS機器上で動作する、地震被災建築物の「応急危険度判定」の調査表入力に特化した「応急危険度判定支援ツール」を無償配布すると発表。同ツールは、調査時の位置の把握が容易、調査表の入力支援とミスの防止、調査結果の整理時間を短縮するなどの特徴があり、Apple社に申請後、6月末をめどに公開する予定。