不動産ニュース / 開発・分譲

2012/6/15

東京・新宿で、総面積2.6haの大規模複合再開発が始動/野村不動産等が参画

再開発エリアのイメージ。高層マンションは地上55階建てで山手線内で最高層となる
再開発エリアのイメージ。高層マンションは地上55階建てで山手線内で最高層となる
再開発エリアの現況。2.6haにも及ぶこの一帯は、バブルとその終焉により翻弄され、虫食い地が点在。治安の悪化が問題視されたため、地元住民が再開発を決意。20年を経て起工にこぎつけた。100名強の地権者のほとんどが地域から出ていかず、最終的な地権者数は89名となった
再開発エリアの現況。2.6haにも及ぶこの一帯は、バブルとその終焉により翻弄され、虫食い地が点在。治安の悪化が問題視されたため、地元住民が再開発を決意。20年を経て起工にこぎつけた。100名強の地権者のほとんどが地域から出ていかず、最終的な地権者数は89名となった

 野村不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、積水ハウス(株)、阪急不動産(株)の4社が組合員として参画する「西富久地区第一種市街地再開発事業」(東京都新宿区)が、15日起工した。

 再開発されるのは、東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」駅徒歩5分圏に広がる、施行地区面積約2.6haに及ぶエリア。同エリアは、バブル期の無秩序な土地の売買と、バブル崩壊により空き地が点在する「虫食い」状態となり、治安も悪化した。そのため、1990年から地元住民が再開発に向けた勉強会を開始。97年には早稲田大学関係者の協力も得て、住民主導の「まちづくり組合」を結成。2002年、「都市再生緊急整備地域」に指定されたことで、容積率アップと高さ制限の緩和を受け、事業ペースが加速。09年の再開発組合設立を経て、20年かけて着工にこぎつけた。

 幅員の狭い道路により細分化され、古くから木造住宅が密集したエリア内の道路を廃道し、外周道路を拡幅する。エリア内には、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上55階地下2階建て、山手線環内で最も高い「超高層住宅棟」、賃貸マンションを主目的とした7階建て「中層住宅棟」、大型スーパー、子供園、商業店舗などの「商業・業務施設棟」、その屋上に配置された「低層住宅棟」を建設。周辺住民とのコミュニケーションの場となる、約850平方メートルの大広場を設置する。住宅の総数は、約1,250戸。

 地権者は89名で、各地権者は居住用住戸に加え、中層住宅棟に1戸ずつ住宅が割り当てられ、それを転貸するなどして生活費等に充ててもらう。4社は、超高層住宅棟の住宅約1,000戸の保留床を取得、販売していく。

 超高層住宅棟は、地震や風揺れに強い2重構造のダンパーを組み込んだデュアル制振構造を採用。連続24時間運転の非常用発電機や防災備蓄倉庫を設置するほか、震度計などセンサーを建物内に設置し、被災後の建物状態を把握・共有する新たな管理システムを導入。災害時における生活継続と日常生活への早期復帰のためのプログラム「LCP」を産学協同で策定する、マンションでは日本初の試みも行なう。竣工は15年秋の予定。

 起工にあたって挨拶した西富久地区市街地再開発組合理事長の笹野 亨氏は「当エリアは、地上げにより治安が大幅に悪化し、住民たちがそんな状況をなんとかしなければと立ち上がり、早稲田大学の協力を得た空家調査など、身近なことからまちづくりを始めていった。資金面がネックとなりなかなか計画が進まなかったが、都市再生緊急整備地域に指定されたことで一気に盛り上がり、行政も前向きに検討してくれるようになった」と再開発の苦労を振りかえった。
 また、住民にさまざまな角度からアドバイスを行なってきた(株)まちづくり研究所代表取締役の増田由子氏は「この再開発は、住民たち自身がこのまちをどうしたいかを考えてきた住民主導のまちづくり。そのまちづくりにかけるエネルギーが原動力となり、超一流企業の参画も得ることができたのだと思う」などと語った。

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