シービーアールイー(株)(CBRE)は11日、2012年第2四半期の全国13都市の賃貸オフィスビル市場動向を発表した。
東京では今期、5棟のグレードAビルを含む17万坪の大量供給によって需要が刺激され、5年ぶりに6万坪を超す新規需要が創出されたが、需要が大量供給に追い付かずに一時的に需給バランスが緩み、グレードAの空室率は10.3%(前期比3.9ポイントアップ)となった。ただ、想定成約賃料は2万9,900円/坪(同100円増)と底打ちの兆しがみられる。
既存ビルに関しては、引き続き緩やかながら空室が消化されており、業績好調企業の拡張移転や市場の拡大につながる自社ビルからの移転等、割安感のある賃料水準を背景に企業マインドの回復を受けた動きが活発化している。
大阪では、空室率が10.0%(同0.2ポイント改善)、グレードA市場の空室率は10.8%(同1.1ポイント改善)といずれも改善傾向。新規供給がないなか、耐震性能の優れたビルや非常用電源の機能を備えたハイグレードビルへの引き合いが高まり、既存ビルの空室消化が進展した。
名古屋では、駅前で計画されている複数の大型ビルの建て替えや拠点の統合廃合に伴う移転を中心に需要を吸引し、市全体の空室率は11.8%と8期連続で低下した。グレードA市場については3.1%(同0.5ポイント上昇)だったものの、低水準を維持している。
同社では、「全国的には、経済の好転や賃料の割安感を背景に、全国的に企業の移転マインドが高まり、コスト削減に加え、立地やビルグレード重視の積極的な移転が増加しているが、在庫が希少となっているため、受け皿不足による需要の潜在化懸念もある」としている。