分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、東京湾岸エリアのマンション市場を検証したレポートを発表した。東京湾に面した品川区、港区、中央区、江東区のいわゆる「湾岸マンション」について、供給が本格化した1995年から2012年4月までの供給状況、販売価格、着工動向などを比較・分析したもの。
湾岸エリアでは、同期間に約3万5,000戸のマンションが供給された。とくに、ピークの2004~06年には、年間4,000戸前後が供給。専有面積80平方メートル超の広さ、坪単価200万円前後、5,000万円前後の低価格から、契約率は90%を上回り、エリアイメージも向上した。
ところが、07年からの大幅価格上昇で売れ行きが低下。供給が一気に減少した。東日本大震災の影響もあり価格はやや低下傾向にあるが、価格は07年比18~33%アップで高止まり。従来ファミリータイプ中心であったものが、グロス圧縮のためコンパクトな間取りが増えてきた。また、どのエリアも地元の集客比率が高まり、広域集客できず、集客量の絶対ボリュームも落ちていることから、苦戦物件も増えている。
同社は「湾岸エリアには、1万戸超の供給材料があり、今後も受給バランスは厳しい状態が続くため、価格面での慎重な判断が必要」と分析。「湾岸エリアの本来のメインターゲットは、やや年収が高めのアッパー一次取得者層で、ファミリータイプの商品は4,000万~5,000万円台のグロス設定が必要。価格調整が徐々に始まっており、首都圏広域のアッパー一次取得者層をターゲットとした商品特性に戻ることで、再び以前の勢いを取り戻すのではないか」とした。