ジョーンズ・ラング・ラサール(株)は4日、2012年第2四半期「アジア・パシフィック・プロパティ・ダイジェスト日本版」を発表した。同調査は、東京都を中心とした不動産市場の需給、空室状況、賃料・価格動向等を独自に分析し、12ヵ月の予測をまとめたもの。
当期の東京オフィス市場は、Aグレードビルの坪当たり平均月額賃料が2万7,378円(前期比1.4%増)となり、08年第1四半期以来17四半期ぶりの上昇となった。また、空室率は3.5%(同0.1ポイントアップ)となり、11年第1四半期以来初めて上昇した。
移転需要が旺盛だったセクターは金融業、製造業、専門・技術サービス業等であり、拠点集約やコスト削減等が理由として挙がった。
当期の新規供給は2棟(11万5,000平方メートル)となり、ストックは454万平方メートル(同2.6%増)と増加。同社では、賃貸市場は、復興関連需要に支えられ持続的に回復する見通しであり、今後1年かけて空室率はおおむね現水準で安定し、賃料も緩やかに上昇する見通しとした。また、賃料の上昇に伴い物件価格が上昇した場合、投資利回りは小幅低下するとしている。
一方、大阪のオフィス市場は、Aグレードビルの坪当たり平均月額賃料は1万844円(同▲0.3%)となり、4四半期連続の下落。空室が増加した建物の賃料下落を一部反映した結果となった。空室率は5.3%(同0.2ポイント上昇)となり、11年第2四半期以来初めて上昇した。
同社は、今後1年にかけて大阪のAグレードオフィスの空室率は小幅上昇する見通しであるとし、13年の大型新規供給のリーシングが本格化する一方で、周辺の建物で発生すると見込まれる二次空室を一部反映した結果だとした。また、賃料と価格は弱含みで推移するとみている。
J-REIT市場は当期の上場銘柄が35となり、時価総額は3.6兆円(同▲0.3%)。平均分配利回りは5.4%(同20bps上昇)に。J-REITインデックスは957.38(同▲3.3%)となった。