国土交通省は、不動産流通市場活性化を図ることを目的に、指定流通機構(レインズ)情報の充実と、住宅履歴情報をはじめとした住関連情報を集約する情報ストック整備の検討を開始する。7日発表された「不動産流通市場における情報整備のあり方研究会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の中間とりまとめで、その方向性を明らかにした。
同研究会は、今年6月に発表された「不動産流通市場活性化フォーラム提言」を受け、不動産に係る情報ストック整備のあり方とレインズ機能の充実における課題を検討するため8月に発足。4回にわたり、基本的な課題と方向性を議論してきたもの。
とりまとめでは、不動産流通をめぐる情報整備・提供の問題点として、仲介に当たり事業者が収集すべき情報が分散していること、住宅購入希望者が求める情報ニーズの増加、流通時における時間軸に沿った情報提供(住宅履歴情報)の蓄積と活用が不十分であることなどを指摘した。
その上で、今後の情報整備のあり方として、レインズ情報の充実を図る一方で、多様化する消費者ニーズに対応するため、流通市場のさまざまな機関や情報サービスに分散している不動産に係る情報を一元的に収集・整備する「情報ストック」に係るシステムを、レインズとは別に構築することで、住宅購入希望者が求める情報を提供する構想を打ち出した。
情報ストックには、価格や面積、間取り、構造、築年数など一般的な情報項目に加え、住宅履歴情報、法令に基づく制限やハザードマップ、マンション管理に係る情報などを盛り込む。これら情報ストックとレインズとの間で、双方向の情報融通を可能とし、レインズへ住宅履歴情報を送り込んだり、レインズの成約情報を情報ストックに蓄積させる。
レインズ情報は、これまで通り事業者が媒介物件の相手方の探索・紹介段階における情報提供機能として、情報ストックは住宅購入希望者との取引・交渉における情報提供機能と位置付ける。
とりまとめでは、これら情報整備にあたっての課題として(1)消費者側・事業者側からみた収集すべき情報項目、(2)成約情報の共有の是非と収集・集約の方法、(3)住宅履歴情報とのリンクのあり方、などをあげ、情報ストック整備に係る調査・研究に係る予算として、平成25年度概算要求で5,000万円を要求、検討を継続する。