不動産ニュース / その他

2012/9/26

高度なサービスとの一体化が新たな不動産ビジネスのカギ/ニッセイ基礎研究所がレポート

 (株)ニッセイ基礎研究所は25日、不動産投資レポート「少子高齢化時代の不動産ビジネス・フロンティア」を発表した。同研究所金融研究部門の松村 徹氏らがとりまとめたもの。

 少子高齢化が不動産市場に与える影響について、住宅市場に関しては、新設住宅着工戸数が金融危機以前の年間100万戸にまで回復することは難しいと指摘。特にマンションについては区分所有者の高齢化により建て替えの際の合意形成が難しくなることで、建物自体が高齢化したマンションが増加するとしている。
 オフィス市場については、東京のオフィスワーカー数が2015年をピークに減少すると予測。東京はアジアの大都市と有力企業の誘致を争っているが、日本の経済的地位の低下が続いた場合は、国内オフィス需要の縮小傾向が強まる可能性があるとしている。
 一方、物流施設市場は少子高齢化の影響を直接受けにくく、また、在庫保管型の旧施設から新世代の大型施設への需要移転が進んでいることから成長余地が大きく、不動産ビジネスのフロンティアといえる、と概観した。
  
 これからの不動産ビジネスの可能性としては、これまで主流であった住宅事業やオフィスビル事業では国内市場における成長の限界が見えるため、生産年齢人口が増加し、経済成長著しいアジア新興国が有望なフロンティアであるとした。また、国内でも不動産会社による介護サービス付き賃貸住宅や有料老人ホーム等の開発が増加傾向となっていることを踏まえ、シニアビジネスの可能性も指摘した。
 
 さらにこうした状況を踏まえた上で、新たな成長が期待できる5つのビジネスコンセプトを提示。(1)老若男女から外国人まで日本で暮らす生活者をターゲットにした住まいに関する一元的なサービスを提供する「『住まい』の総合サービサー」、(2)企業が所有する不動産活用を提案する「企業のCRE戦略アドバイザー」、(3)起業や商品開発を積極的に支援し新たな不動産需要やビジネスの種を生み出す「新ビジネス・新商品のインキュベーター」、(4)開発物件から既存ストックまで幅広く省エネ・創エネ・畜エネを推進し“環境エネルギー産業”の一角を担う「エネルギー利用のスマートマネージャー」、(5)不動産の開発から管理、売買、建替え・再開発まで長期にわたる不動産事業サイクルのあらゆる局面に対応できる専門家として、JREITや私募ファンド、私募REITの運用資産規模と収益機会の拡大を目指す「不動産長期運用のマルチマネージャー」を挙げた。

 これらのビジネス・コンセプトの共通事項として、経済活動に必要な施設(ハコ)を提供するだけの不動産業を脱して、高度できめ細やかなサービス(ソフトウェア)と不動産を不可分一体のシステムとして提供するビジネスへの展開を挙げ、利用者優先で品質とサービスに徹底的にこだわり、若い感性を積極的に取り入れることが、時代が求める新しい不動産ビジネスを確立して、日本の成長戦略の一つを担う大きな力となる、と結んでいる。

 同レポートの全文はこちらを参照のこと。
 

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