不動産ニュース / その他

2012/11/2

戸建住宅液状化対策工法を開発、13年度商品化へ/住友林業

薄鋼矢板を地盤に差し込んでいる様子
薄鋼矢板を地盤に差し込んでいる様子
手前が薄鋼矢板、奥が一般的な鋼矢板
手前が薄鋼矢板、奥が一般的な鋼矢板

 住友林業(株)は1日、浦安市運動公園(千葉県浦安市)で戸建住宅液状化対策工法に関する施工検証を報道陣向けに公開した。

 東日本大震災で地盤の液状化による大きな被害を受けた浦安市では、市が管理する運動公園等の使用を民間企業に許可し、液状化対策として有効な工法について実証実験する企業を募集。2012年3月には同社を含めて9社が実証実験の実施者として選定された。

 従来の工法は、施工機械が大きく、広い施工ヤードが必要なことから、コスト高となり、戸建住宅の施工には不向きだった。同社では、戸建住宅に導入できる費用で十分な効果と耐久性を発揮できる技術として、基礎の周囲を、薄鋼矢板(日新製鋼(株)の錆を防ぐ溶融メッキ「ZAM」)で囲み、建物下の土砂流出を抑えるという工法を開発した。

 摩擦力を減らすため、マイクロバブル(家庭用洗剤でつくったきめの細かい泡)を噴出しながら、厚さ2.3mm、長さ5mの薄鋼矢板を地盤に差し込んでいき、ボルトで結合した薄鋼矢板を差し込んでいく、というもの。深さは15mくらいまで差し込むことが可能。コストは、新築時で200万円前後を想定(2階建て35坪で、深さ5mの場合)。施工期間は4~5日。
 同工法だと、一般住宅街でも扱いやすい機械で施工できるという。

 現在は、25分の1サイズの模型を使い、薄鋼矢板の深さによる影響、液状化層の厚さの違い、2塔並列による影響などを、東京電機大学と共同で解析を進めている。また、地盤と基礎の間に鋼管を敷設し、高水圧で鋼管を膨張させ建物を持ち上げる、11年10月発売の沈下修正工法「SMUP工法」との併用についても検証中とのこと。

 同社住宅事業本部技術部副部長の坂牧俊哉氏は、1日の施工検証の場で「今回の工法は、建物が均等に沈下するので傾きを防ぎ、住み続けることが可能となるなど、被害を軽減することができる。街区全体を薄鋼矢板で囲い込み、液状化を防ぐ方法も検証している。今後は4分の1スケールの振動実験を行なっていき、2013年度には新築戸建住宅に採用していきたい」などと述べた。

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