不動産ニュース

2013/1/7

「2013年 年頭挨拶」(業界団体・各社)【7日分】

(社)全日本不動産協会理事長 川口 貢氏
(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 大栗育夫氏
住友不動産販売(株)代表取締役社長 大橋正義氏
住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏
(株)LIXILグループ取締役代表執行役社長兼CEO・(株)LIXIL 代表取締役社長兼CEO 藤森義明氏

(順不動)


■(社)全日本不動産協会理事長 川口 貢氏

 平成24年12月16日、衆議院総選挙が実施され、自由民主党が絶対安定多数を上回る議席数を獲得し大勝いたしました。
 われわれ最大の関心事である消費税は、2014年4月に8%、15年10月に10%に2段階で税率が引き上げられますが、平成9年の引き上げ時と同様、駆込み需要とその反動で大幅な住宅着工の落ち込みが危惧されております。
 このたびの衆議院解散によって、平成25年度税制改正大綱は年明けにずれ込むこととなりましたが、需要の平準化と市場の混乱を避けるために、早急に具体的な負担軽減策が示されることを、切に願うものであります。
 さて、昨年、宅地建物取引業法の施行から60周年を迎えました。現在、不動産流通市場では、既存ストックの流通促進が急務となっております。消費者に対して住宅履歴等の情報が十分に与えられていないことから生じる不安感が、消費者の購買意欲の低下につながっていると言われています。昨年、国土交通省では、「不動産流通市場活性化フォーラム」を開催し、幅広いテーマで議論を行い、提言書が取りまとめられたところです。この提言を受け、消費者にとって必要な情報の整備・提供等について、不動産流通市場の実情を踏まえた実効性のある検討が進められています。今後は、消費者ニーズを踏まえ、必要となる情報の収集、提供のほか、住宅診断やリフォーム提案などの関連サービスを提供できるよう、宅建業者の総合的なコンサルティング機能を向上させていくことが重要と考えます。また、昨年開催いたしました全国不動産会議・新潟県大会におきましても、不動産業界が取り組む高齢者住宅の在り方、住宅・土地等の既存システムの有効活用について、様々な観点から分析を加え、新たなビジネスモデルの提案が行われたところです。
 宅地建物取引業法とともに歴史を歩んできた我が全日は、公益法人制度改革によって、さらなる進化を進めていきたいと考えております。
 社団法人全日本不動産協会は、平成24年3月30日に内閣府へ公益社団法人への移行認定の申請を行いました。その結果、平成24年12月7日付で内閣府公益認定等委員会より内閣総理大臣に対し、本会が公益認定相当である旨の答申書が提出されました。また、平成24年12月7日開催された理事会において、公益社団法人の設立登記は平成25年4月1日とすることが決議されました。公益社団法人として新たなスタートを切るにあたって、以下のとおり消費者及び会員の利益に資するよう進めて行きたいと考えております。
1.公益社団法人へ移行による運営体制の検証及び具体化
2.多様な公益目的事業の充実・強化
3.一層の優良会員の増強

 全日に先立ち公益社団法人へと移行した公益社団法人不動産保証協会につきましては、これまで以上に公益社団法人としてふさわしい法人運営に努め、以下のとおり消費者目線の公益目的事業の充実を図って参ります。
1.一般保証業務の本格的な事業再開と運用体制の充実
2.宅建業法の規定に基づく保証業務の適正かつ確実な実施

 平成25年も、各地方本部の役員・会員の皆様のご協力を得ながら協会の組織基盤の強化を図っていくとともに、全国組織としてのガバナンスを確保しつつ、円滑に公益目的事業が行えるよう取り組んでまいります。
 新年の船出にあたり、会員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げるとともに、本年が皆様一人ひとりにとって実り多い素晴らしい一年となりますよう衷心よりお祈り申し上げ、私の新年の挨拶とさせていただきます。


■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 大栗育夫氏

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、国内外の経済の停滞、円高の長期化、政治の混迷など、リーマンショック以降続けてきた状況が継続し、回復傾向も長続きしない、そんな一年だったと思います。マンション市況も、前半は郊外型や大規模物件の供給ボリュームが増えるなど回復の兆しが見えていましたが、後半にかけて伸び悩んだ結果、首都圏では年初の供給予測には届かないという結果に終わりました。高齢化や人口減少など構造的な変化への対処も待ったなしであり、政治の変化が今年にどう影響して来るか。新しい政権に期待したいところです。
 長谷工グループでは、昨年4月から新中期経営計画「PLAN for NEXT(4N計画)」がスタートしました。新たなステージの基盤作りとして、建設関連事業とサービス関連事業の両輪に軸足をおく経営への移行を加速しており、新組織の立ち上げや新領域でのビジネスにおいても徐々に成果が出てきています。
 計画初年度の業績は、まずまずの結果を残すことができる見通しとなってきました。今後につながる材料が増えてきているのも明るい兆しだと思っており、今の勢いを止めることなく進んでいくことが重要です。

【今年一年の心構え】
 昨年は年初に「反転攻勢」を掲げました。悪い流れをたち、攻勢に転ずる。皆さんの頑張りで受注の増大と低粗利の挽回という、今の流れを作ることができました。
 今年はその良い流れを継続して、さらに大きな流れにしていくためのキーワードとして『前進』を掲げたいと思います。以前から申し上げているように長谷工のDNAは、目標に果敢に立ち向かい結果を出すことです。「4N計画に全力で立ち向かい、力強く前に進む年」にしていきましょう。

 最後に、今年も安全・安心で快適な住まいの場を提供するために全社員力を合わせていきましょう。防災、節電、環境負荷の低減などへの意識が高まっている中、質が高くお客様ニーズに合った商品を提供できるよう頑張っていきましょう。


■住友不動産販売(株)代表取締役社長 大橋正義氏

 新年明けましておめでとうございます。
 今年は当社にとりまして、新しい中期経営計画が始まる年であります。しっかり成長を遂げ、新たな成長路線へとステップアップしなければなりません。
 当社は経営方針で「顧客第一主義のもと、人々のニーズにあった快適なライフステージを提供し、住生活の向上に貢献すること」と謳っています。顧客の信頼を勝ち取って、シェアを伸ばしていくために、一般消費者のニーズを的確に捉えて、中古住宅の成約件数増に、より一層努めていただきたいと思います。
 また、生産設備を持たない当社にとりましては、人の採用が最大の投資であります。採用した人材の早期戦力化を実現し、業績に貢献させることが重要です。忍耐強く、愛情を持った新人の教育が必要であります。
 今年も全社一丸となって、一人の傍観者も無く取り組んでいただきたい。


■住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏

国内外を取り巻く状況:
 12月の選挙を経て新内閣が発足しました。新政権への期待から日経平均株価は1万円台を回復、金融緩和と財政投入を織り込んだ円安基調への転換もあり、景気回復の期待が膨らんでいますが、東北復興の本格化に向け積み残しの課題も多く、参議院とのねじれ国会を考えると課題山積のスタートとなります。
 また昨年は、日本に限らず、アメリカ、ロシア、フランス、中国、韓国でも大統領選やリーダーの交代がありました。今年もイタリア、ドイツ、オーストラリアなどで大統領選や総選挙が予定されています。これから新しい秩序の形成に向けて動き始めるわけですが、日本が世界でどのように振舞い、アジアの隣国とどのようにつきあっていくか振舞い、アジアの隣国とどのようにつきあっていくか、世界の政治から目が離せない状況が続きます。
 経済面に目を向けると、国内では消費税増税を間近に控え、特に内需の動向に大きな影響を与える住宅取得に関しては、税制や金融政策など支援策の議論がこれから本格化してきます。我々としては、給付やローン減税等の支援策の内容、そして全体的な金利動向等、関係する情報をしっかりと整理し、お客様やお取引先の皆様に最善のアドバイスが出来るようにしていかなければなりません。本社、各本部、支店それぞれにおいて、十分な情報収集と対応準備をして下さい。
 政府の対策次第では、前回増税時と同様に大きな駆け込み需要とその反動が避けられませんので、もちろんこの点に関しての備えも万全を期していきます。
 混沌とした政治・経済環境がつづきますが、我々は、いつの時代にあっても社会変化に対してお客様目線を忘れずに、柔軟にして正面から対応できる姿勢を持ち、基本に忠実に目標に向かって行動していきたいと思います。

2013年の心構え:  
 今期は、木材建材流通と注文住宅事業において、これまで取り組んできた安定収益体制作りに向けての様々な施策が徐々に成果として現れてきています。この二つの事業は、当社グループを支えるメインエンジンであり、引き続き、戦略性を持って安定収益体制の一層の強化にしっかりと取り組んで下さい。
 ご承知の通り、日本は財政問題を抱えながら少子高齢化が進んでいくことで、社会的にも経済的にも大きな構造変化をおこしてきます。これは、必ず訪れる未来です。この問題を認識した上で、現在の住友林業グループの事業領域において継続的な成長を成し遂げるには、二つのメインエンジンの出力を安定的に高めながら、ストック事業や木化事業、生活サービス、そして海外事業というその他事業のエンジンの推進力を早期に強化していく必要があります。
 昨年4月の組織改正は、時代の変化を捉えた上で、早急に第三、第四の収益のエンジンを作り上げていくためのステップであり、必要なことは、それぞれの事業部門とそれを支える本社部門がビジョンと戦略を共有し、スピード感を持って具体的な施策を実行していく事です。この点をしっかりと確認したいと思います。
 そして、このような変化する時代においてこそ、ビジョンや戦略策定の基本となる鍵は『現場』にあります。理屈では問題、課題は解決しません。『現場』に出向き、自分の目で見、肌で感じ、心で理解する。経験則やこれまでの実績にとらわれず、それぞれの『現場』で何が起きているかをしっかりを掴み、そこにある課題、問題をベースに新しい戦略を立案・実行してください。

さて2013年は、巳年です。
 漢書『律暦志』によりますと、巳年は草木の生長が限界に達し、次ぎの生命が作られ始める時期という意味があるそうです。植物に種子ができ始める時期という事であり、まさに当社にとって新しい事業やプロジェクトが具体的に動き出すのにふさわしい一年といえます。
 昨年、3年ぶりに開催した「未来のちからプロジェクト」には、120以上の応募があり、たくさんの事業アイデアが集まっています。日常の業務や事業の枠にとらわれず、住友林業グループの未来を見据えた新しいチャレンジが提案されていることを非常に嬉しく思います。今月、最終選考が行われますが、2年後、3年後の新たな成長エンジンとなり得る有望なアイデアに出会うことをとても楽しみにしています。
 もちろん、それぞれの職場においても、様々なアイデアがあると思います。会社の発展を支え、飛躍させるのは『現場』を知る皆さんの知恵と行動力です。温めているアイデアやプロジェクトがあれば、ぜひ実現に向けてトライしてください。思いを形にする。即ち、『有言実行』こそが事業の原動力です。

次の成長に向けて行動する一年に:
 私は折に触れ社員手帳を読み返すようにしています。そこには住友林業グループ人としての心の糧であり指針とすべき事がしっかりと書かれています。『再生可能で地球にやさしい自然素材である「木」を活かし、「住生活」に関するあらゆるサービスを通じて、豊かな社会の実現に貢献する』という経営理念であり、『公正、信用を重視し、社会を利する事業を進める』などの行動指針です。私自身これらを胸に、世界一の森林会社を目指す住友林業グループの一員として、常に初心を忘れずに、そして挑戦的に日々を送りたいと思っています。

 政治・経済の不透明感は続きます。変化するのは当たり前です。いかなる環境変化においても正面からしっかりと事実を受け止め、不屈の精神でチャレンジしましょう。
 2013年を『全員が行動する一年』にしていきたいと思います。力を合わせてがんばりましょう。


■(株)LIXILグループ取締役代表執行役社長兼CEO・(株)LIXIL 代表取締役社長兼CEO 藤森義明氏
 
 新年を迎え、謹んでご挨拶申し上げます。
 昨年は、官民とも東日本大震災からの復興に向け取り組んだ一年でした。しかし依然として、故郷を離れたり、仮の住宅で過ごされたりしていらっしゃる方々も多く、被災された皆さまにはあらためてお見舞い申し上げるとともに、引き続き支援を続けてまいります。

 LIXILグループは、統合第1ステージである「統合基盤の確立」が順調に終了し、今年は第2ステージ「成長体制の確立」への移行となります。住宅業界を取り巻く経営環境の好転や海外市場での伸びも期待でき、私たちは市場環境を上回る成長を目指してまいります。

 国内事業においては、お客さまの良い暮らし、良い住まいを実現するサッシ、エクステリア、水まわり設備機器など多彩な商品を発売します。今後ますます増えると予想されるゼロエネルギー住宅・ビルへの対応、リフォーム市場の活性化等は、あらゆる建築資材をワンストップでご提供できるLIXILグループの強みが最大限に発揮できるものと確信しております。また、2月から生産される商品には、新しいLIXILのコンポジットロゴマークが付きます。統合前の各個社のブランドという私達のかけがえのない財産を、新しいLIXILブランドが大切に引継ぎ、今まで以上に多くのお客さまに育てていただけるよう努めてまいります。

 海外事業においては、中国、インド、アセアンを中心に製品の強化、販売を拡充してまいります。昨年末に着工したべトナムのアルミ製品を生産する新工場は、今年末には操業を開始いたします。中国では、ハイアールとの合弁によるキッチン事業が本格的に稼働いたします。またアジア各地でのM&Aも実行してまいります。ビルカーテンウォール事業のペルマティリーザにつきましても、米国が好調であるのに加え、新ドーハ空港クラブラウンジや、中近東やアジアでの昨年受注が順調に推移しており、今後更なる受注拡大を目指して活動を継続してまいります。

 一方社内においては、真のグローバル化に向けて、(1)ダイバーシティを尊重する文化(2)誰もが平等に評価されるチャンスを掴む事ができる文化(3)ストレッチという考え方に根差した実力主義の文化 という企業文化の更なる構築に努めると同時に、リーダーシップ教育を一層充実させ、グローバル人材育成に力を入れてまいります。
 
 LIXILグループが「私たちは優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献する」という企業理念を体現し、グローバルリーダーとして持続的に成長していくためには、社会の変化を見極め、お客さまが直面している課題を解決するという、社会本位、お客さま本位の経営が必要となります。

 私たちLIXILグループは、これからも私たちにしかできないオンリーワンの、お客さまが求める価値を世界中で提供してまいります。ダントツの製品力とサービスで、中期経営ビジョンの達成はもちろん、揺るぎない持続的な成長を目指し活動するLIXILグループを本年もご支援、ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

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Vol.428 クアラルンプールにはなぜこんなにショッピングモールがあるのか【マレーシア】」を更新しました。

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