


中部7県(愛知、静岡、岐阜、三重、福井、富山、石川県)の宅地建物取引業協会で構成する全宅連中部地区連絡会は6日、ホテルセンチュリー静岡(静岡市葵区)で不動産シンポジウムを開催。国土交通省中部地方整備局副局長の渡辺秀樹氏、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長の伊藤 博氏ら来賓、各宅協の役員・会員、一般ユーザーも含め200名が参加した。
冒頭挨拶した(公社)静岡県宅地建物取引業協会会長の市川宣克氏は「われわれ連絡会会員は、安全・安心の中古住宅取引を実現し、ユーザーと地域社会の信頼に応えるため、専門的知識の向上に努めることを倫理綱領でも謳っている。今日のシンポジウムも、その一環である」などと語った。
シンポジウムでは、まず東海大学教授で海洋研究所・地震予知研究センター長の長尾年恭氏が、地震予知の最前線について講演。同氏は、地震学と予知研究は別の学問であること、今の日本は「予知を目指さない予知研究」が主流であること、地震予知研究に対する予算がまったく不足していることなどの問題点を指摘。「首都圏直下型地震は“想定される危機”。その被害額は110兆円ともいわれ、日本が初めて世界大恐慌の引き金になる可能性も。富士山も若い活火山で、必ず噴火する」と警鐘を鳴らした。
続いて、(一社)全国賃貸不動産管理業協会理事の佐々木 正勝氏が講演。空室増、モラルハザードの悪化、訴訟リスクの増大、自然災害の脅威など賃貸不動産管理業を取り巻く環境の変化を背景に、賃貸媒介業と管理業を区別し、サービス管理から脱却した高い賃貸経営管理のプロとしての管理業が必要になるとアピール。「オーナーも、賃貸管理業者と共同歩調し、大家業ではなくホテルのようなサービス業感覚による、健全な資産運営を目指していくべき」などと語った。
その後、静岡宅協・市川会長をコーディネイターに、(社)富山宅協会長・加田清男氏、(社)石川宅協会長・吉本重昭氏、(社)福井宅協会長・加藤信一氏、(社)三重宅協会長・山路 忠氏、(社)岐阜宅協会長・箕浦茂幸氏、(社)愛知宅協副会長・初澤宣廣氏をパネリストに、国土交通省と不動産業界団体、関連事業者などが連携して全国12地域で進められている中古住宅流通活性化事業をテーマにパネルディスカッションを開催。静岡宅協が参画する「静岡不動産流通活性化協議会」が進めている中古住宅流通のワンストップシステムを中心に、安全・安心の中古住宅を流通させるため必要な取り組みについて議論した。
中部地区では、愛知県を中心にした既存住宅クオリティサポートセンターがインスペクションと瑕疵担保保険の普及を核にした活性化策を、富山宅協が参画する富山県中古住宅流通促進協議会が、金融機関と連携した中古住宅ローンの充実などの活動を展開。各宅協も、独自に町家バンクへの登録、不動産鑑定士との連携模索、空き家管理制度に係る行政との協定などを行なっていることから、中部地区連絡会が中心となって、これらの活動の成果や行政への要望などの情報を共有化、中古住宅流通活性化に向け連携していくことを確認した。