不動産ニュース / 政策・制度

2013/3/28

「ヘルスケアリート」検討委員会が取りまとめを発表/国交省

 国土交通省は28日、「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」の取りまとめを発表した。

 同検討委員会では、「ヘルスケアリート」という不動産証券化手法を用いた投資主体をつくり、広く資金を集めてヘルスケア施設に投資する仕組みを利用できないかを検討。海外では、米国をはじめ、カナダ、シンガポール、英国、アーストラリア、マレーシアなどですでにヘルスケアリートが存在しているが、日本でも設立や活用が可能となるのか、4回にわたり検討会を開催した。

 ヘルスケアリートがヘルスケア施設を取得・運用しようとする場合に、より安定的かつ適切な事業運営や、投資家保護が図られる観点から、(1)オペレーターのモニタリング体制の拡充、(2)賃貸借契約における合理的な条件設定、(3)リートによる適切なデューディリジェンスと内外への情報開示の実施が、留意すべき事項として挙げられた。

 (1)は、賃貸借契約を解除・解約し、オペレーターを交代させることができる要件を賃貸借契約において明確化。また、万が一の場合におけるオペレーターの交代手続きを事前に確認しておくことで、物件の長期事業継続の蓋然性が高まり、利用者の安定利用の確保、賃料収入の安定性の確保につながるとしている。
 (2)は、利用者にとっては、ヘルスケアリートの都合によりサービス水準の低いオペレーターに変更される等の不安、賃借人であるオペレーターにとっては、ヘルスケアリートから一方的に契約を解除されるのではないか、建物の改築等の設備が自由にできなくなるのではないかといった不安が指摘されている。一方、賃貸人であるヘルスケアリートは、安定的な賃料収入の確保等の観点から問題のあるオペレーターとの契約が解除しにくいのではないかという不安が指摘されている。そのため、提供されるサービス、建物の改修等の内容や賃貸借契約の解除・解約の条件などを明確にしておくことが有効と考えられるとした。
 (3)は、ヘルスケアリートに対して、年金や生命保険等の機関投資家による長期的な投資や海外投資家からの投資が可能となるためには、ヘルスケア施設に対する投資市場規模の拡大や収益実績の履歴の充実が重要であり、これらに役立つ開示情報の標準化や高度化が望まれる。開示情報の充実は、オペレーターの適正な評価につながり、ひいては利用者、オペレーター、投資家間の情報の非対称性による摩擦を小さくすることが期待されるとしている。

 なお、一般的なヘルスケア施設の定義は明確ではないが、同検討委員会では、供給増加や質的向上という社会的なニーズに伴う重要性の大きさやこれまでの証券化の実例という観点から、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、病院を、検討の対象としている。

 その他詳細はホームページ参照。

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