(株)三井住友トラスト基礎研究所は15日、海外のヘルスケアリートを概観したレポートをまとめた。
海外ではアメリカ、カナダ、シンガポール、マレーシア、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドでヘルスケアリートがすでに上場。時価総額は計868億ドル(約8.2兆円)規模に成長している。うちアメリカのヘルスケアリートは、時価総額812億円(約7.6兆円)と、圧倒的なシェアを占めている。
アメリカのヘルスケアリートは、リートとしては後発セクターであるものの、ここ10数年で急成長を遂げ、小売、産業・オフィス、住宅に次ぐ4番目に大きなセクターに拡大。全エクイティリートの13%を占めるまでに成長した。
なお、ヘルスケアリートのパフォーマンスについては総じて堅調で、アメリカのヘルスケアリートのリターンは15.6%と、全エクイティリート(12.0%)、株式(9.5%)より高い値を示している。しかしリスクも21%と、全エクイティリート(19.4%)、株式(15.4%)より高く、ヘルスケアリートは総じてハイリスク・ハイリターンとなっている。
アジアに目を向けると、シンガポールのヘルスケアリートも良好なパフォーマンスを示しており、ヘルスケアリート銘柄は2013年3月末時点で、07年末の2倍以上に成長。シンガポールリートや株式のパフォーマンスを大幅に上回っている。
日本にはヘルスケア特化の上場リートはないが、ヘルスケア施設を保有するリートは9銘柄あり、運用資産額は366億円にのぼる。しかしこれは資産規模9.7兆円の0.4%に過ぎず、今後の拡大余地は大きいとみている。
また、国土交通省が3月27日に「ヘルスケアリート検討委員会」がとりまとめた報告書を発表。14年に上場をめざすヘルスケアリートの候補もあることから、日本でヘルスケアリートが具体化する日も近いと結んでいる。