


長谷工グループの(株)長谷工リフォーム(東京都港区、代表取締役社長:鹿倉克幸氏)が進めていた、分譲マンション「エルシティ新浦安」(千葉県浦安市、総戸数1,248戸)の東日本大震災復興工事が完了。25日、記念式が行なわれた。
同物件は、(株)長谷工コーポレーションが建設・販売してきた大規模マンションで、竣工は1985~92年。竣工以来、(株)長谷工コミュニティが管理し、現在、約3,200人が居住している、同グループを代表するマンションの一つ。東日本大震災では、建物や地下配管等の被害は軽微だったものの、敷地内の複数箇所で、建物と地盤面の間に最大1mの段差が生じた。
そのため、2011年4月、同物件の管理組合や自治会を中心に、震災復興本部を設置。同年10月から、長谷工コミュニティが外構部の被害調査を実施。その結果を受け、長谷工リフォームが管理組合の意向を聞きながら復興計画を提案し、工事を受注。12年8月から工事を進めてきた。
復興工事は、単なる原状復旧ではなく、団地内における安心・安全性の向上、高齢化に対応したバリアフリー化、経年劣化や時代に即した利便性の改善など、将来を見据えた内容とした。総工費は、約2億5,000万円。全額、管理組合の余剰積立金で賄った。
建物段差の解消と同時に、傷んだタイル舗装をインターロッキング舗装に変更したほか、L字側溝を撤去するなどバリアフリーに配慮。敷地内に設けられた池は、池の機能を廃止した上で、飛び石撤去と段差を小さくして、安全性を高めた。駐車場は、段差の修正に加え、地下ピットの被害があった部分を平置きに改めた。管理センターは、階段の段差を低くし、車いすスローブも傾斜を緩めたほか、駐輪スペースを設置。震災の経験を踏まえ、敷地内に井戸を掘削した。
記念式で挨拶したエルシティ新浦安管理組合理事長の竹内 誠氏は「長谷工グループと居住者の多大なるご協力で工事が無事完了したことに、ホッとしている。私自身も、これまで平日・週末問わず、空いた時間のほとんどを、工事の打ち合わせ等に費やしてきた。震災後は、さまざまな風説も飛び交ったが、このマンションは建設当初から液状化対策が施され被害も少なかった。組合としては、何が何でも資産価値を維持するぞという意気込みで、復旧ではなく『復興』工事とした」などと語った。
同自治会長の横山英明氏は「今回の工事は、震災被害の復興とともに、29年目を迎えたエルシティをどう再生するかも課題だった。長谷工グループは、私たちの目線に立って、グループの知恵を出し合って、いい提案をしてくれた」と謝意を述べた。
また、長谷工リフォームの鹿倉社長は、「エルシティは、長谷工グループにとって大変思い入れの強い団地であり、何としてもグループ総力で復興をお手伝いしたかった。理事長様も、総会で『どこよりも早く復旧して、資産価値を高め、人口流出を食い止めたい』と宣言され、組合挙げ居住者のため頑張ってこられたことにも、心を打たれた。リフォーム工事は、住民が生活する中で進めるため業者と住民とのコミュニケーションが重要となる。今回の工事では、住民の方々は大変な協力をしてくれた。今後も、10年20年と団地が存在する限り、資産価値向上のお手伝いをしていきたい」などと語った。