三幸エステート(株)は30日にマスコミ向けのセミナーを開催。その中で、東京都心Aクラスビルで市況回復傾向が明らかにみられることを改めて解説した。
同社が4月22日に公表した、成約賃料に基づくオフィスマーケット指標「オフィスレント・インデックス」の2013年第1四半期版では、賃料単価2万7,760円/坪(前期比16%増、前年同期比27%増)、空室率8.0%(前期比1.2ポイント減、前年同期比1.8ポイント上昇)と市況改善をうかがわせる結果に。同社チーフアナリストの今関豊和氏は「13年第1四半期は、アベノミクス効果の影響もまだほとんどない中で、大きく改善を示す数字となった。現場では、すでに値下げ幅の縮小調整が行なわれていると聞く。今後さらに改善が進むと予測できる」と述べた。
続いて、「オフィスレント・インデックス」を共同開発した(株)ニッセイ基礎研究所の竹内一雅不動産市場調査室長が、同日発表した「東京都心部Aクラスビルのオフィス賃料予測(2013年度版)」について解説を行なった。さまざまなデータから、東京での空室率改善が、主要政令指定都市の回復次期に遅れをとりながらも11年以降顕著に見られるようになってきたこと、12年には賃貸需要の大幅増が確認されており、その傾向は13年も確認できることなどを説明。新規供給数やオフィスワーカー数、実質GDP成長率などから推計した今後の東京都心Aクラスビルのオフィス賃料を、当面のピーク(14年第1四半期)までに標準シナリオで24.5%上昇(今回の上昇が開始した12年第3四半期からは62.3%上昇)、楽観シナリオで38.0%上昇(同79.9%上昇)、悲観シナリオで12.5%上昇(同46.7%上昇)とする予測を発表した。
なお、そのピークから17年第1四半期までは、標準シナリオで25.8%下落、楽観シナリオで22.6%下落、悲観シナリオで29.8%下落とという予測となった。