国土交通省は21日、「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」(座長:中城康彦明海大学不動産学部教授)の第3回会合を開き、報告書案を発表した。
同研究会は、中古住宅流通市場拡大の課題である「中古住宅の品質・性能が金融機関の担保評価に適切に反映されない」点について、適切な建物評価のための環境整備、担保評価における適切な建物評価、適切な評価のための物件情報開示、住宅ストック価値の維持向上のためのインセンティブ、リバースモーゲージなど、ストック活用促進の方策を多角的に検討し、具体的な制度構築を提案することが目的。金融庁もオブザーバーとして参加している。
報告書案では、中古住宅の建物評価手法を、税法上の法定耐用年数を基に経過時間に応じて一律減価する手法を改め、維持修繕費等コストを価格に置換する原価法の特長をいかし、リフォーム履歴も適正に評価された期待耐用年数を基にした評価手法を目指すよう提言した。
そのため、市場プレーヤー(売主・買主・事業者等)に行動に働きかけ、中古住宅流通市場を改善する方策として、(1)インスペクションの普及促進、(2)既存住宅の長期優良住宅認定・評価・インセンティブ付け、(3)住宅履歴情報の充実、(4)情報ストックの整備、(5)流通税軽減などによる買取再販ビジネスモデルの構築などをあげている。
改善した原価法による建物評価額と、収益還元法による収益価格の関係に付いて、戸建賃貸住宅の賃料や建物状況を基に検証も行なっていくことで、市場での普及定着を図る。建物部分の担保評価を適正化することで、住宅ストックをフローの資金に変換する手段としての「リバースモーゲージ」市場の拡大につなげる。
また、建物評価の改善と市場定着に向け、行政、民間事業者、金融当局、金融機関の問題意識・認識を共有していくため、住宅金融支援機構、民間金融機関、不動産事業者等中古住宅流通市場関係者による「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル(仮称)」を新設。政策情報の提供、リフォーム一体型ローン、リフォームローン、リバースモーゲージ等の商品充実に関する情報交換を行なっていく。
研究会で挨拶した国土交通副大臣の鶴保庸介氏は「中古住宅の流通促進については、先般閣議決定された日本再興戦略にも盛り込まれており、まさしくこの研究会におけるとりまとめを踏まえ実行に移していくことになる。建物評価や住宅金融の問題等課題は山積しているが、ここで変わることができれば本当にこの国を変えることができると考えている」などと抱負を語った。