国税庁が1日に発表した「平成25年分 路線価」について、業界団体・企業のトップから以下のようなコメントが発表された。(順不同)
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏
三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
今回の路線価の結果をみると、昨年度と比較して最高路線価が上昇した都市は7都市、横ばいの都市は8都市(平成24年分は上昇2都市、横ばい8都市)となった。
また、平成25年分の全国平均値においては、昨年分に引続き下落となったが、都道府県別にみると、2県で上昇(平成24年分では上昇した都道府県なし)を示す結果となり、また下落率5%以上の都道府県が昨年は12であったが、今年は4県と減少している。
昨年からのアベノミクス効果により、政府のデフレ脱却政策が功を奏しつつあることは喜ばしいことであり、さらにこの効果が地方も含めた全国的な広がりとなることを期待したい。
このような状況下において、本会では、消費税率の引き上げに対し、新聞紙上での意見広告、都道府県宅建協会と連携した提言活動等を行った結果、25年度税制改正においては、住宅ローン減税の拡充・延長が盛り込まれ、さらに、6月26日に消費税引き上げに伴う住宅取得に係る給付措置が自由民主党と公明党で合意したところである。
消費税率の引き上げ自体は、今秋の経済情勢により判断されることとなるが、国民生活の基盤である住宅政策については、特に消費者マインドが冷え込むことがない対応を、改めて望むものである。
1.標準宅地の評価基準額の全国平均は、昨年に続き下落したが、下落幅は縮小しており、直近の主要都市の高度利用地地価動向報告でも、三大都市圏の都心部を中心に従来の下落基調から上昇・横ばい基調への転換が広範に見られるなど、不動産市場にようやく回復の兆しが見え始めている。
2.我が国の経済に持ち直しの動きが見られる中、デフレより確実に脱却し、持続的な経済成長を果たすためには、大都市の国際競争力の向上や住宅投資の促進をはじめとした内需主導による成長戦略の実現が不可欠である。
3.当協会としても、成長戦略の実現に向け、魅力的なまちづくりや良質な住宅の供給等を通じ、貢献して参りたい。
平成25年の路線価では、全国的に下落率が縮小、上昇地点が増加しており、地価の改善傾向が鮮明になっている。
分譲マンションの販売は好調な状況が続いており、今春以降、首都圏の当社モデルルームへの1物件当り来場者数が昨年の約1.5倍で推移しているほか、今後の金利や物価の上昇懸念が影響していることもあり、顧客が物件の購入を決定するまでの期間が短縮化している。
企業業績が改善に向かっていること等から、オフィスマーケットも回復傾向が強まっており、当社においても首都圏のビル空室率が低下していることに加え、一部の物件では賃料が上昇している。今後も防災面、環境面に配慮されたビルへの移転ニーズは継続するとみている。
また不動産投資市場は、J-REITの新規上場や公募増資が増え、新規物件取得も活発に行われるなど、市場の成長に向けた動きが着実に進んでいる。
安倍政権による積極的な金融・財政政策等の効果もあり国内経済は持ち直しの動きを見せているが、実体経済の回復を確実なものにするためにも、更なる規制緩和を含めた成長戦略の着実な実行に期待する。